生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年8月18日
 
 

大学公開講座 (だいがくこうかいこうざ)

キーワード : 民間(NPO)委託、教育資源、地域課題、後援・共催、資格取得
飯田吉朗(いいだよしろう)
1.大学公開講座の座標
  
 
 
 
   歴史的経緯や必要性、関連の深いキーワードといった要素から生涯学習を原点とした座標平面を設定し、公開講座がその平面でどのような位置に座標としてプロットされているか、という命題を考えてみる。
 「社会人のための一般教養」という概念「『生涯学習について』『生涯学習の基盤整備について』他の中央教育審議会答申」などが時系列座標軸になり、生涯学習の必要性の提唱がなされていた時と同時期に設置された「文部省(当時)の生涯学習局(社会教育局発展改組、現文部科学省生涯学習政策局)」「地域の学習資源の活用」という概念などが水平列座標軸となる。
 大学公開講座を簡略に定義すれば「大学の組織、施設、設備などの教育・研究機能を主に社会人を対象とした生涯学習活動や学校外教育のために活用する形態」ということになるが、前述の文部省生涯学習局が設置された当時、同局は生涯学習社会実現のための方途として二つの施策理念を打ち出した。
 即ち、
 A:行政内部の関連他部局との連携
 B:民間教育産業の育成
ということである。
 大学公開講座は、実施主体と事業内容の点からはちょうどAとBの共通領域にプロットされている。生涯学習をこれから始めようとする人、一人ひとりにとって、それは『自分の家の近くにある大学に通って、パソコンの実技を習得したり一般教養講座を受講したりする、あるいは俳句や生け花などの文化教室へ参加する』といった具体的な行動を通じて生涯学習をイメージできるものとなっている。
 A、Bに補足を加えておく。
Aについては、国でいえば文部科学省以外の省庁、地方自治体でいえば首長部局で行われている生涯学習関連の取り組みがこれに該当している訳であるが、現在国や地方自治体の事業は行政主催から民間(NPO)への委託が流れとなっている。
Bについては、当初いわゆるカルチャーセンターを想定していたものである。
 今後AとBが融合し、学習者が大学の教育資源を活用した形で、自ら企画・立案、運営・実施する手作りの公開講座が生まれてくるかも知れない。

 
 
 
  参考文献
・日本生涯教育学会編『生涯学習事典 増補版』東京書籍 1992年
 
 
 
 
  



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