生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2008(平成20)年9月4日
 
 

コミュニティ・スクール (こみゅにてぃ・すくーる)

community school
キーワード : 地域社会学校、地域に開かれた学校、地域に信頼される学校、地域教育経営、スクール・コミュニティ(学びの共同体)
井上講四(いのうえこうし)
1.定義
  
 
 
 
   「コミュニティ・スクール」とは、地域社会(コミュニティ)における様々な教育資源・機能を活用すると同時に、自校の有する教育資源・機能を、当該地域社会に提供する学校のことである。歴史的には、1930年代末の米国で、E.G.オルセンらによって提唱されたもので、「地域社会学校」とも言われるものである。その考え方は、我が国では、第二次大戦後、地域社会の現実に根ざした教育課程の自主編成論(→地域教育計画)に導入されたが、都市化社会の進展等により衰微していった。しかし、1989(平成元)年3月の学習指導要領において、「指導計画の作成等に当たっての配慮すべき事項」の一つとして、「地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域社会との連携を深めるとともに、学校相互の連携や交流を図ることにも努めること」とされたことにより、新たな様相を呈し始めた。その後この動きは、学校と地域社会のさらなる協働化の必要性が主張され始め、平成16年度から「コミュニティ・スクール(学校運営協議会方式)」として、公式に制度化されてきていることは周知の通りである。
 ちなみに、この制度は、地域の公立学校の運営にその地域住民自体が参画するもので、「地域に開かれた・信頼される学校づくり」の推進役として期待されているものである。具体的には、保護者や地域の住民、有識者などから構成される「学校運営協議会」が設けられ、そこでの意見を学校運営に反映させるものである。すでに、このコミュニティ・スクールに指定されている学校では、このしくみをうまく活用して、地域の意見を踏まえた教育活動を展開したり、地域の力を借りて、放課後や土日の子どもたちの居場所づくりを行ったりしている。平成17年度からは、コミュニティ・スクールの推進のための調査研究事業として、「コミュニティ・スクール推進事業」も実施されている。このコミュニティ・スクールは、小・中学校はもちろん、幼稚園や高等学校などの地域の公立学校にも導入可能で、その決定については地元の教育委員会が行うこととなっている。平成20年度4月現在で、29都府県、343校が、その指定を受けている。今後の動向が、極めて注目されるところである。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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