登録/更新年月日:2006(平成18)年12月9日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
すべての人は,等しく宇宙のさまざまな現象を楽しむ権利を有する。 しかるに,天文の分野でユニバーサル・デザインの考え方はまだ十分に普及しているとはいえない。今後,すべての人が等しく学習し,五感で体験できるような条件整備を進めていくことが求められる。 アメリカ合衆国ボストン市のMuseum of Scienceでは,N.Grice女史は’Touch the Universe’プロジェクトを開始した。これは,視覚障害者向けの展示資料,とりわけ天文関係の資料の中に触って宇宙を楽しめる資料が皆無であったことから,世界初の触覚型天文教材の開発に取り組むこととなった。写真に凹凸をつけてそれを触ってもらい,頭の中にグラフィックイメージを膨らませてもらおうとしたのである。これまでに,NASAとの共同開発の形で数種類の教材の開発に成功している 2003年,シカゴ大学付属ヤーキース天文台は,ウィスコンシン州視覚障害者センターとの共同開発により,Space Exploration Experience Project (Project SEE)を開始した。視覚障害者のための天文普及活動である。プロジェクト開発に携わったのは, V.Hoette女史及び同天文台スタッフある。このプロジェクトが真っ先に手がけたのが,視覚障害者が手で触って感じることのできる「触覚型天文教材」の開発であった。これは,元来,盲学校等で教材作成に使用している「熱膨張紙」を天体写真の加工に応用したものである。熱膨張紙とは,加熱することにより紙の間に挟みこまれている熱膨張カプセルが膨張して凹凸を表現するもので,カーボンの乗っている部分だけが熱を受けて0.5mmほど浮き上がるものである。この資料は比較的短時間に作成することが可能であり,経費的負担も少ないものであった。Project SEEでは,これを天体写真に応用し,大きな成果をもたらしている。 今後,このような触覚型天文教材が揮発・活用されることが望まれる。 br> |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・今井歌奈子「だれにも優しい博物館づくりを目指して−ユニバーサル・ミュージアムの試み−」2006年1月,常磐大学コミュニティ振興学部卒業論文。 ・Yerkes Observatory. SEEing THE UNIVERSE, 2006: A Multisensory Approach. (Mimeograph) |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |