登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【語義】 高齢者教育という語は、広義には高齢者のための教育政策や制度、理念や実践の全体を指して、狭義には、高齢学習者を援助する方法形態や内容編成を指して用いられる。アメリカの高齢者教育については、日本の生涯学習・社会教育の領域では1980年代以降大きくとりあげられるようになり、研究・実践に影響を及ぼしてきた。 【成立過程】 アメリカでは1960年代を通じて人口高齢化がもたらす社会構造上の問題に広範な関心が集まり、1965年にはアメリカ高齢者法(Older Americans Act)が成立する。そして同法に基づき新設された高齢者対策局(Administration on Aging)を中心に、高齢者サービスに関わる政府機関や学術機関、民間機関は急増し、老年学(gerontology)という学際的な研究および実践の領域を形成していく。 既に1960年代には成人教育に関する研究・実践(andragogy)や組織が発展をみていたが、そのなかで高齢者教育学(gerogogyやeldergogy)という考え方も提出され、成人発達や生涯発達という心理学における新しい鍵概念が注目されるようにもなっていた。そして1976年には生涯学習法(Lifelong Learning Act)が成立、『Educational Gerontology』(1976年創刊)や『Lifelong Learning』(1977年創刊)などの学術雑誌が編まれるなかで、高齢人口の増加のみならず、高齢者の教育水準の上昇などにも目が向けられ、それらに対応する学習支援のあり方などが検討されていくのである。 またこのかんには、人種差別撤廃運動や性差別撤廃運動に続き、年齢差別撤廃を訴える高齢者の組織的な運動が展開され、1967年には雇用における年齢差別禁止法(Age Discrimination in Employment Act)が成立するに至る。これら運動の担い手となった高齢者団体を中心として、高齢者自らが高齢者向けの学習プログラムを組織的に開発・実施するようにもなるのである。 br> |
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参考文献 ・野島正也「AndragogyからEldergogyへ―アメリカにおける高齢者教育の展開―」『生涯教育と社会教育』(日本生涯教育学会年報第4号)1983. ・堀薫夫『教育老年学の構想―エイジングと生涯学習―』学文社,1999. ・Ikuyo Nishiide『ANDING OPPORTUNITIES OF HIGHER LEARNING FOR OLDER ADULTS』SEIZANSHA,2001. |
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