生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2015(平成27)年12月11日
 
 

高校生の発達と規範意識・自尊感情の関連 (こうこうせいのはったつときはんいしき・じそんかんじょうのかんれん)

キーワード : 高校生、規範意識、自尊感情
林幸克(はやしゆきよし)
2.高校生の規範意識
 
 
 
 
  1)調査方法・内容
 平成25(2013)年11月から12月にかけて、岐阜県公立高等学校6校の生徒を対象に、郵送法による質問紙調査を行った。6校の生徒564名から回答を得て、そのうち、558名分を有効回答として集計した。回答者の内訳は、男子274名・女子284名、1年生224名・2年生176名・3年生158名である。主な質問項目として、規範意識に関する内容は、今の高校生が強く意識した方がいいと思うこと(8項目)に関して、あてはまると思う項目を複数回答で求めた。自尊感情に関する内容は、今の自分の気持ち(22項目)について、「あてはまる」(4点)、「どちらかというとあてはまる」(3点)、「どちらかというとあてはまらない」(2点)、「あてはまらない」(1点)の4件法(4点満点)で回答を求めた。
2)今の高校生が強く意識した方がいいと思うこと
 男女比較をして有意差のあった内容をみると、「制服の着方などの身だしなみ」(男子53.3%、女子39.4%)、「時間を守ること」(男子57.7%、女子41.2%)、「薬物乱用防止に関すること」(男子42.3%、女子30.3%)、「いじめに関すること」(男子54.0%、女子40.5%)で、いずれも、男子の回答が多かった。その一方で、「身近な人へのあいさつ」(男子54.7%、女子56.3%)、「自転車の乗り方などの交通安全マナー」(男子50.7%、女子43.3%)、「スマートフォンの使用などの情報モラル」(男子51.1%、女子48.2%)、「電車・バスなどの乗車マナー」(男子43.4%、女子43.3%)では、有意差は認められなかった。
 学年比較で有意差のあった内容をみると、「制服の着方などの身だしなみ」(1年生39.7%、2年生50.6%、3年生50.6%)、「時間を守ること」(1年生38.8%、2年生54.0%、3年生58.9%)、「自転車の乗り方などの交通安全マナー」(1年生46.9%、2年生39.2%、3年生55.7%)であった。前者2項目では、1年生であてはまる割合が少ないこと、後者1項目からは3年生で多く、2年生で少ないことがわかった。また、「時間を守ること」と、「電車・バスなどの乗車マナー」(1年生39.7%、2年生42.6%、3年生49.4%)の2項目では、学年進行に伴ってあてはまる割合が多くなっていることが示された。他方、「身近な人へのあいさつ」(1年生51.8%、2年生58.5%、3年生57.6%)、「スマートフォンの使用などの情報モラル」(1年生47.8%、2年生45.5%、3年生57.0%)、「電車・バスなどの乗車マナー」、「薬物乱用防止に関すること」(1年生37.9%、2年生29.5%、3年生41.1%)、「いじめに関すること」(1年生48.7%、2年生44.3%、3年生48.1%)では、有意差はなかった。
 これらの結果から、男子は、基本的生活習慣に関する事柄や専門性が求められる事柄に関する意識が高く、学校生活に直結する内容を重視していることがわかった。他方、マナーやモラルに関する事柄については、男女差がないことも明示された。また、概ね3年生の規範意識が高いことも明らかになった。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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