生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2015(平成27)年3月18日
 
 

コミュニティ・スクールと学校支援地域本部の連携タイプと効果 (こみゅにてぃ・すくーるとがっこうしえんちいきほんぶのれんけいたいぷとこうか)

キーワード : コミュニティ・スクール、学校支援地域本部、学校運営協議会、地域とともにある学校づくり、学校とともにある地域づくり
志々田まなみ(ししだまなみ)、天野かおり(あまのかおり)
3.連携にともなう課題
  
 
 
 
   T型(地域教育協議会あり−学校主導)では、CSと地域本部を連携させずに並行して運営しているため、相乗効果が望めないばかりか、学校と地域の双方にとって負担が重くなってしまう点が課題である。両者を運営するメリットを活かすには、地域コーディネーターをCSに関与させ、地域でどのような子供を育てていくのか、何を実現していくのかという目標やビジョンを、教員や学校支援ボランティアが共有できるよう促す必要があるだろう。
 U型(地域教育協議会なし−学校主導)では、地域本部の取組が学校からの依頼による支援活動に偏っていたり、とどまっていたりする。それゆえ学校は、さまざまなことを抱え込むことになり、とりわけ校長ら管理職の負担が大きくなる。一方、地域住民は、学校改善に主体的に関わる「当事者意識」をもちにくい。また、学校側は、保護者や地域住民を単なる学校の応援団やサポーターとみなしがちで、学校改善にともに取り組むパートナーや同僚として迎えるまでに至らない。学校にしてみれば、教職員や児童・生徒、学校組織などは言わば学校をめぐる「内」であり、それに対して地域住民、保護者、地域の組織や機関等は「外」に位置する。地域との関係において主導権を握る学校にとっては、それら「内」と「外」との相互関係を把握しながら双方向から改善のサイクルを循環させることが鍵となる。
 V型(地域教育協議会なし−地域主導)では、学校運営協議会と地域教育協議会それぞれの役割がCS内でしっかり区分され,位置づけられているかが重要になる。そうでなければ、事業の見直しや軌道修正に関する指摘が出にくくなり、地域住民がおこなう学校支援活動の民主的な運営に支障が生じかねない。W型のように、地域教育協議会を学校運営協議会の相互補完のパートナーとして、あるいはカウンターパートナーとして機能させることが欠かせない。その意味で、W型の組織体制は、V型が抱える課題をすでに克服していると言えるものの、学校運営協議会と地域教育協議会の委員の交代のルールなど、両者のパワーバランスをめぐる問題は、なおCSや地域本部の運営のあり方を左右する懸案として指摘できる。「地域とともにある学校づくり」を「学校とともにある地域づくり」に深化させることが今後の課題となる。
 
 
 
  参考文献
・志々田まなみ・熊谷愼之輔「学校と地域の連携を推進する組織づくりに関する一考察〜『学習する組織』論を手がかりに〜」『生涯学習・社会教育研究ジャーナル』第6号、2013年。
 
 
 
 
  



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