生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2014(平成26)年11月29日
 
 

高校生のキャリア意識 (こうこうせいのきゃりあいしき)

career consciousness of high school students
キーワード : キャリア教育、高等学校、岡山県「高校生社会貢献活動推進事業」、群馬県「高校生ボランティア・チューター小学校派遣事業」
林幸克(はやしゆきよし)
3.群馬県「高校生ボランティア・チューター小学校派遣事業」の事例
  
 
 
 
  1)経緯
 平成15(2003)年5月の群馬県議会文教治安常任委員会での提案をきっかけに、小学校長会と高等学校長協会、市町村教育委員会と群馬県教育委員会とがそれぞれ連携し、全国に誇れる群馬方式のボランティア事業として構想された。
2)目的
 第1は、母校でのボランティア活動をすることを通して、高校生が社会と関わっていこうとする力を伸ばすこと、第2は、高校生自身が社会に役立つことを実感することを通して、自分自身を生かす力を養うこと、第3は、小学生が高校生と交流する中で、先輩の姿を自分の将来のモデルとして、これからの学校生活への夢や希望を育むことである。
3)実施状況
 活動期間は、2月中旬から下旬にかけての2週間で、原則として出身小学校で活動を行うこととなっている。高等学校の実施状況をみると、当初約90%の高等学校が実施していたが、年々減少が続き、最近は70%を下回るようになっている。参加者数もそれに伴い減少傾向にあり、350人近かった参加者が、250人を下回るようになっている。小学校の受入状況は、当初は60%近くの学校で受け入れていたが、最近は50%を下回る年が続いている。受入期間に大きな変動はなく、8〜9日となっている。
4)活動内容
 活動内容は大きく直接的支援と間接的支援に分けることができる。また、直接的支援については、教科指導と教科外指導に分類することができる。平成15(2003)年度は、各々の活動内容例が具体的に示されているが、事業が定着してきたことを反映してか、2012年度は簡素化されている。内容的には、大きな変動はないが、平成24(2012)年度では、直接的支援の教科指導に「勉強が苦手な児童の支援」、教科外指導に「不登校傾向の児童への支援」があり、これは、平成15(2003)年度にはなかった内容である。特別支援教育に関わる今日的な教育課題が反映されるようになっている。
5)質問紙調査による成果の検証
 事業に参加した生徒の特徴として、次の3点が指摘されている。
 第1は、「友だちが困ったときには、助けることができると思う」、「友だちの気持ちを大切にすることができると思う」、「友だちとけんかしても、うまく仲直りができると思う」、「友だちに悪いことをしたと思ったら謝ることができると思う」など、友だちとの人間関係を良好に保つ自信を強く有していたことである。第2は、「みんなと意見が違っても、自分の意見を言うことができると思う」、「自分の気持ちや考えを友だちにわかりやすく伝えることができると思う」など、自分の思いを他者に伝えることについて、自信を持っていたことである。第3は、「生徒は、将来のためにしっかりと勉強すべきだと思う」、「すぐにできなくても、できるまでがんばろうと思う」、「失敗しても、あきらめずに、うまくいくまでがんばろうと思う」など、未来志向で、課題遂行意識が高かったことである。
 
 
 
  参考文献
・林幸克「高校生のキャリア意識に関する一考察−群馬県における「ようこそ先輩!」(高校生ボランティア・チューター小学校派遣事業)の事例に基づく考察−」岐阜大学教育学部研究報告−人文科学−、第62巻第2号、2014
 
 
 
 
  



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