登録/更新年月日:2012(平成24)年1月3日 |
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デンマークの成人教育は、「職業訓練成人教育」、「普通成人教育」、「自由成人教育」という分類がなされている。職業訓練成人教育では、労働市場の需要にあわせて職業訓練が行われ、対象は被雇用者、および失業者や低技能の被雇用者、移民や難民となっている。そして普通成人教育の目的は、普通科目の知識と技術を向上させ、彼らの職業と可能性を伸ばすことにある。対象は主に前期中等教育を修了していない者、基礎教育において改善が必要な成人である。これら職業訓練、および普通成人教育の学校群は、政府や地方自治体がそのカリキュラムや指導方法を規定している。また修了後に認証や資格を得ることができる 。 自由成人教育の共通点は、その根底にある教育思想、および歴史的背景に19世紀半ばに設立されたフォルケホイスコーレに代表されるように、グルントヴィやコルの思想的影響を受けている点である。そこでは、対話による相互作用や全人的な学習が重んじられ、試験のための学習や資格の取得を目的とした専門的な職業訓練は原則的に重んじられない。そして自由成人教育以外は、カリキュラム、科目、そして指導方法を政府や地方自治体が定めていることに対して、自由成人教育はそれらの拘束を原則的に受けない。そして、学校に入るためには年齢以外の特別な資格は原則的に必要なく、またそれらの学校、学習を終えても資格や認証は出ない 。 これらの学校はフォルケオピュリスニング法(Folkeoplysningsloven) や、フォルケホイスコーレ、エフタスコーレ、家政スコーレと裁縫スコーレに関する法(Bekendtgørelse af lov om folkehøjskoler,efterskoler,husholdningsskoler og håndarbejdsskoler)で制度的に規定されている 。 デンマーク政府は、自由成人教育やボランティア活動を、民主主義の発展と社会的結束、また学習文化の創造に貢献しているとして評価している。そして変化の激しい社会において、自由成人教育、職場や生活におけるインフォーマルな学習、そしてフォーマルな成人教育の間の相互作用を促進し、学習の価値を高めることの重要性を述べている 。そしてこの相互作用を促進させるものとして、「成人のための学習評価の導入の促進」、「様々な機関で知識や技能の共有や援用のための文書化の促進」、「フォルケホイスコーレ在籍中の、他機関等での資格や認証につながる学習の選択の有効化」といった戦略が行われている。 政府の生涯学習の戦略の方向性としては、 1)費用対効果を重視し支出を抑えること 2)国家の経済成長と国力の強化のために高学歴、または高い学習意欲を持つ人材を育成すること 3)労働市場の変化するニーズに柔軟に対応し労働力を供給すること 4)移民や、障害のある人々、周縁化された人々の統合を促進すること を志向している。 br> |
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参考文献 |
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