登録/更新年月日:2012(平成24)年1月3日 |
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『デンマークの生涯学習戦略』の構成は次のようになっている。 1)就学前クラスにおける戦略 2)義務的な基礎教育段階における戦略 3)後期中等教育段階における戦略 4)高等教育段階における戦略 5)成人教育段階(自由成人教育は含まない)における戦略 6)横断的な戦略 7)雇用と統合 8)ノンフォーマル(自由成人)教育における戦略 である。 序文において、教育相であるバーテル・ホルダー(Bertel Haarder)は国際社会における知識基盤型社会の牽引役として、デンマークが発展していくために、競争性と社会的結束が重要であり、その戦略手段として生涯学習を位置づけている 。そしてグローバルな労働市場においては、高いスキルを持った労働者は重要な意味を持ち労働市場で重宝されるが、低スキルの労働者は、労働市場から拒否される社会が近く到来するため、個人が現在よりも高いスキルを習得することが奨励されている。さらに、資格を得ることの重要性と、若年層にあたっては、教育段階を終えて労働市場に参加していく年齢を早める必要性が述べられている。そして世界的に質の高い教育システムの構築と、全ての人々の生涯学習への参加を目標とし、より具体的には以下のような目標を持ち教育改革を行っていくとしている 。 (1)全ての子どもたちが学校教育において良いスタートをきることができるようにする。(2)全ての子どもたちが高い学業成績を修め、個人の能力を高められるようにする。(3)2015年までに、95%の若者たちが、普通または職業的後期中等教育を修了している。(4)2015年までに、50%の若者たちが、高等教育を修了している。(5)全ての人々が生涯学習に参加している。これらに加えて、低学歴の人々の学力を向上させること、ガイダンスやカウンセリングの改善、教育における国際的な側面の重要性も記されている。 各教育段階における戦略を見ていくと、基礎学力の定着に徹底と共に、「ドロップアウトの改善」や、「キャリアガイダンスの実施」が重視されており、成人教育段階では、「基礎的スキル、資格の取得の奨励」、「労働市場の需要に合致した内容」、「低学歴者へのアクセスの改善」、「雇用者、被雇用者へのガイダンス」、「デンマーク語を母語としない人々のためのデンマーク語の強化」、「奨学金の増加」が記されている。そして2007年から2012年までの6年間に、150億DKKが生涯学習における技能の向上施策に対して投資されることとなった 。 さらに、デンマークには19世紀からの伝統を有する自由成人教育が存在し、これらの学校群に対しても、戦略的に位置づけている。 br> |
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参考文献 ・Danish Ministry of Education(2007) Denmark’s strategy for lifelong learning―Education and lifelong skills upgrading for all. ・佐藤裕紀「デンマークの生涯学習戦略に関する一考察−『デンマークの生涯学習戦略』における自由成人教育の戦略に着目して」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』別冊19号-2、2012年。 |
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