生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

社会教育委員 (しゃかいきょういくいいん)

キーワード : 社会教育法、寺中作雄、井内慶次郎、社会教育審議会答申、生涯学習審議会答申
蛭田道春(ひるたみちはる)
3.社会教育委員をめぐる役割と課題
  
 
 
 
  (1)社会教育委員の役割
 社会教育法に規定されている社会教育委員の役割を紹介してみる。
 社会教育法第15条には、「都道府県及び市町村に社会教育委員を置くことができる。」とされ任意設置である。しかし、同法第13条の規定によって、「地方公共団体にあっては、教育委員会が社会教育委員会議の意見を聴いて行われなければならない。」とあり、社会教育委員は任意設置であるが必置制に近い規程になっている。社会教育委員には、同法第15条第2項に「学校教育及び社会教育の関係者並びに学識経験者の中から、教育委員会が委嘱することになっている。そして、社会教育委員は、教育長を経て教育委員会に助言するため、次の職務を行うことになっている。
・ 社会教育に関する諸計画を立案すること
・ 教育委員会の諮問に応じ意見を述べること
・ 前項の各職務を行うために必要な研究調査を行うこと
 社会教育の諸計画の立案に関しては、社会教育が企画立案することになっているが、一般には教育委員会事務局が提示した計画案を審議する。そのために研究調査をすることがあげられている。
 また、同法17条第2項で、教育委員会の会議に出席して、社会教育委員自らが意見を述べることが出来るとされている。その他に、同法第17条第3項では、市町村の社会教育委員は、教育委員会から委嘱された青少年教育の特定事項について社会教育関係団体、社会教育指導者に対し助言・指導をすることができることになっている。
(2)社会教育委員の課題―社会教育委員の調査から
 社会教育委員の課題について、『社会教育委員に関する調査報告書』(全国社会教育委員連合、平成12(2000)年、同15(2003)年)からあげてみると、
1.答申・建議がだされていない
2.調査研究費が少ない
3.研修機会は年2,3回程度で予算がない、必要ないといった例がみうけられる
4.社会教育委員の会議は不活発
5.教育委員会議との関係は必ずしも関わりがあるとはいえない
などが指摘されている。また,社会教育委員活動が活発な市町は、
1)教育委員会事務局の担当者は意欲的である
2)社会教育委員に意欲のある人、人格識見がある人、多彩な人物などが選ばれている
3)社会教員委員による研究調査がされている
4)教育委員会が社会教育委員の会議の提言等を重視している
などの結果が報告されている。

 
 
 
  参考文献
・蛭田道春「社会教育委員制度の課題と方向」『日本生涯教育学会年報第26号』平成17(2005)年
・『生涯学習・社会教育行政必携』第一法規、平成15(2003)年
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.