生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2016(平成28)年12月26日
 
 

グローバル人材の育成のための青少年国際交流プログラム (ぐろーばるじんざいのいくせいのためのせいしょうねんこくさいこうりゅうぷろぐらむ)

キーワード : グローバル人材、国際交流、青少年教育施設、東アジア、文部科学省
松浦賢一(まつうらけんいち)
2.青少年教育施設を活用した国際交流事業
 
 
 
 
   2015(平成27)年8月12日から15日までの3泊4日で実施された、国立大雪青少年交流の家主催の文部科学省委託事業「青少年教育施設を活用した国際交流事業:ユース オブ ワールド 2015」を事例に、日本の青年と東アジアの留学生が北海道の自然環境を活かしながら協同で体験活動等を行う国際交流プログラムの成果を検証した。
(1)参加実績
 日本の青年と北海道内の大学で学ぶ東アジアからの留学生を参加対象とした。参加したのは、実行委員10名を含む日本人23名(男10名、女13名)、外国人9名(男2名、女7名)の合計32名である。日本人参加者の内訳は、高校生13名、大学生9名、勤労青年1名であり、外国人留学生の国籍は、中国3名、台湾1名、韓国4名、モンゴル国1名である。
 日本人と留学生混合のグループを5つに分け、小グループに分けることで互いに交流する機会を増やすように工夫した。
(2)プログラムデザイン
 国立大雪青少年交流の家を活動場所の中心とし、トレッキングやフィールドワークなど、北海道の夏にふさわしいアウトドアでの体験活動を取り入れることで、開放的な環境の中で、参加者が無理なく慣れ親しむことができるようにプログラムを企画した。
 また、アイヌ文化にふれることにより、自然との共生や、多様な文化が共存できる、豊かな社会づくりのヒントを得るように工夫した。
 事前に3回の実行委員会を開催し、プログラム内容について協議・準備を行った。
 プログラムは、日本人の実行委員が企画したコミュニケーションゲームからスタートし、その後、実行委員が北海道の自然やアイヌ文化、グローバル・アクションプロジェクトについて英語と日本語で説明した。続いて、グループ別にフィールドワークやアクションプロジェクトについて協議し、各国の文化や習慣の違いなどについて理解を深めた。
 2日目は、テーマ別フィールドワークとして富良野市と美瑛町を訪問した。富良野市は、自然環境と共生する資源循環型環境モデル都市として、全国の行政や関係機関から年間200件もの視察団が訪れる市。リサイクルセンターの見学などを通して、環境への取組について学習した。また美瑛町は、日本の農山漁村の景観・文化を守る最も美しい村の運動を先駆的に展開している。小さくても素晴らしい地域資源を持つ村の存続や美しい景観の保護活動について学習した。美瑛町観光協会では、観光客のマナーの実態についてインタビューした。夜には、旭川市旭山動物園を訪問し、園長が講師となり、「旭山動物園における野生動物と環境への取組」と題して講話した。
 3日目は、グローバルな課題解決のための共同アクションプロジェクトとして、東アジアの観光客に人気のある美瑛町の青い池周辺の環境保全活動としてゴミ拾いを行った。また、交通ルールと観光マナーについて外国語で書かれたチラシを観光客へ配布し、啓発運動を行った。夕方には、グループでクッキングを行い、作った料理を食べながら実行委員が企画したフェアウェルパーティにおいて、留学生による文化紹介、ゲームやダンスなどをして楽しく交流をした。
 4日目は、フィールドワークやグローバル・アクションプロジェクトの成果報告を行い、続いて札幌大学孔子学院長が講師となり、「東アジアの友好の懸け橋として次世代リーダーに期待すること」と題して講演した。
 
 
 
  参考文献
・松浦賢一、「『グローバル人材』の構築化を図る青少年国際交流プログラムの実践研究―青少年教育施設を活用した東アジアの青少年交流から―」、日本生涯教育学会論集・37、2016年、pp.161-170。
・松浦賢一、「野外体験活動をとおした外国語によるコミュニケーション教育プログラムの開発−青少年社会教育施設における国際キャンプの実践から−」、平成23年度北海道教育委員会社会教育主事会研究紀要、2012年、pp.78-80。
 
 
 
 
 



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.