登録/更新年月日:2006(平成18)年11月25日 |
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ア.体制 文化芸術振興基本法が平成13年(2001)に公布された。前文で文化芸術振興の意義をうたい、各条では、文化振興にあっての基本理念(活動者の自主性・創造性の尊重、文化芸術創造・享受の権利性の確認、文化芸術の多様性の確保など)を規定する。さらに、個別の文化芸術の活動ごとに推進すべき施策の方向をも規定している。文化芸術振興基本法は、文化芸術全般にかかわる初めての総括的な法律として画期的な意義を有する。 また、従来、文化庁には審議会が設置されてこなかったが、中央省庁再編に伴い、文化審議会の設置が認められ、文化政策部会、著作権分科会、国語分科会、文化財分科会、文化功労者選考分科会が設けられている。「文化を大切にする社会の構築について」(平成13(2001)年)以下、逐次、答申が出されている。 文化芸術行政は文化庁の所管と言えるが、文化の語義のあいまいさ、実際の活動の広がりなどから多くの省庁が関わる。経済産業省は、映画、アニメなどのコンテンツ産業振興の観点から、国土交通省、総務省、農林水産省が文化的なまちづくりに関わる建設関係事業支援を中心に、また、外務省が国際的な文化交流の観点からと、多様な事業が展開されている。文化的景観の保存・活用のように、国土交通省、農林水産省、文化庁など、関係省庁が連携協力するケースも生まれている。 イ.予算と施策 文化庁予算全体は、平成18(2006)年度で1,006億円であり、文部科学省予算の1.96%、国全体の一般会計予算の0.13%を占める。かつて、大平研究会「文化の時代」報告(1980年)で、国家予算の0.5%程度まで引き上げるとされたが、達成には程遠い。国の全体予算に対する文化予算比率は、イギリス0.42%、フランス0.94% 、ドイツ0.27%などとなっており、日本が欧州各国を大きく下回る。 また、文化庁予算の内訳は、約6割が文化財保護関係で文化芸術関係は約4割に過ぎない。しかも、国立美術館の整備運営費16%を除けば、文化芸術振興の事業費としては24%となる。施策・事業では、芸術振興に関しては、「文化芸術創造プラン」策定、創造的活動への助成、フェスティバル等の開催、新進芸術家の育成、子どもの文化体験活動の促進事業等を行い、地域文化振興に関しては、「ふるさと文化再興事業」、「文化芸術による創造のまち」支援事業、国民文化祭、全国高校総合文化祭の開催などを行う。また、文化財保護では、有形・無形の重要文化財、重要民俗文化財や史跡・名勝・天然記念物の指定のほか、伝統的建造物群保存地区の選定、新たな登録制度の運営を行い、国立劇場・新国立劇場の充実、国立美術館・博物館の独立行政法人化とその運営、新たな博物館(国立新美術館、国立劇場おきなわ、九州国立博物館)の建設を進める。 一方、地方公共団体の文化関係経費は、平成5(1993)年度をピークに減少傾向にあり、平成16(2004)年度では3,909億円、そのうち市町村が約7割、都道府県が約3割を占める。うち文化芸術関係経費は84%、文化財関係経費は16%となっている。文化芸術経費のうち事業費は17%しかなく、残り8割以上が文化施設の建設・運営経費になっている。 br> |
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参考文献 |
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