登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【大学開放と評価】 大学開放事業を効果的に進めるためには、各種の実態把握や価値判断が不可欠である。大学開放の評価は、大学公開講座における学習成果の評価・認証など、教育・学習活動と直接的な関連をもつものから、いわゆる大学評価の一環として教育・研究面の開放度を点検・評価するものまで、その目的や内容、方法は多岐にわたる。 大学開放をめぐる評価については、理論的にも実践的にも十分な蓄積があるとは言えない。しかし、以下の理由から、近年その重要性が増しつつある。 第1に、地域社会へのサービスと考えられてきた大学開放事業も、その費用に見合った効果が期待されるようになりつつある。大学経営全体にとっての大学開放事業のメリットが厳しく検証され、評価される時代を迎えている。 第2に、生涯学習成果の評価・認証の必要性が叫ばれる中、大学公開講座においても何らかの形で学習成果を評価すべきとの議論が出され始めている。公開講座を受講した学習者に対して、学位などアカデミックな資格との連動や職業資格の付与などへの期待・関心が高まっているのである。 【「評価」の多様性】 生涯学習評価が「学習活動をめぐる評価」を中核としながらも、「経営」「行政」「政策」に及ぶ各水準を視野に収める必要があるように、大学開放の評価も多様な水準でとらえるべきである。 第1に、学習成果の評価・認証のような「総括的評価」にとどまらず、「事前的評価(診断的・配置的評価)」や「形成的評価」「外在的評価」なども重要である。大学公開講座の「総括的評価」は学習支援論としても、行政論・政策論としても重要性をもつが、それにとどまるものではない。 第2に、評価の目的も単一ではなく、「管理・運営の改善・充実」のほか、「学習支援の改善・充実」「学習活動の改善・充実」「調査・研究」など多様である。それぞれの目的に応じた評価システムが設計・構築されなければならない。 第3に、評価の一連のプロセスの中で考えた場合、「学習者の受け入れ・配置」「学習支援活動展開の参考」「学習支援内在的評価機能」「学習支援活動へのフィードバック」「成果把握・評価」「認定」「実態把握」などの各要素からとらえることができる。 第4に、評価の対象は、「学習者個々人」「学習活動」「学習活動の内容やあり方を直接的規定しているもの」「学習支援組織の社会文化的風土」「学習支援組織の物理的・社会的環境風土」「教育システム」の各水準からとらえられる。 第5に、評価の主体も、「学習支援者」「学習者本人」「学習支援スタッフの全体」「教育行政当局」などが考えられる。 このように、大学開放の評価を論じるに際しては、大学公開講座による学習成果の評価・認証ばかりでなく、大学開放事業の立案、遂行、成果などに関連する各種の実態把握と価値判断のすべてが含まれうる点が重要であろう。したがって、大学開放の評価論は各サブ・システムの構築と全体システムの構造化を課題として進められなければならない。 br> |
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参考文献 ・梶田叡一『教育評価(第2版補訂版)』有斐閣、2001年 |
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