生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2008(平成20)年12月31日
 
 

成人の健康学習 (せいじんのけんこうがくしゅう)

health learning for adult
キーワード : 自己管理学習、セルフナーシング、ヘルスプロモーション、オタワ憲章、健康リテラシー
今西幸蔵(いまにしこうぞう)
3.成人の健康学習の事例
  
 
 
 
  【事例】
1.食育に取り組む健康学習
 生涯にわたる健康について考える時、食事の問題は極めて重要である。肥満やダイエット願望からから生じる生活習慣病の問題や「食」の安全性の問題などもあり、健全な食生活が行われにくい現状がある。
 「食育」とは、食に関わる自己管理能力の育成を意味し、知育、徳育及び体育の基礎となるような、生きる上での基本となる考え方をいう。
 食育基本法の基本理念は、食育をとおして生きる力を育成するために、家庭、学校、地域などのあらゆる場所で食育に関する活動を進めていくこととされる。そのことによって心身の健康を培い、生涯にわたって健康に暮らすことができるようにすることが目的となっている。
 食育推進に取り組んでいる大阪府和泉市は、その具体化となるさまざまなイベント活動を展開している。中心となっているのが「和泉市民健康まつり」の開催で、会場では医師会、歯科医師会、薬剤師会、保健所、栄養士会、食生活改善推進協議会などの組織や団体が各種のデモンストレーションを行い、それぞれが健康に関わる情報提供をしている。
 この「和泉市民健康まつり」の会場では医師会主催の各種の測定が行われる。歯科医師会が主催するのは、歯科総検診、唾液テスト、フッ素塗布などである。また薬剤師会主催のコーナーは、体成分測定や健康クイズを行い、同市食生活改善推進協議会や同市保健所管内地域活動栄養士会及び給食研究会などは、栄養、食生活コーナーに出展し、子どもたちを囲んでの紙芝居や食材釣りゲームなどを行っている。
2.運動・スポーツの推進による健康学習
 和歌山県西牟婁郡上富田町は、人口約1万5千人の地方都市であるが、この町では総合型地域スポーツクラブ「くちくまのクラブ」を核にした「スポーツによる町づくり」が組織的に進められている。
 「くちくまのクラブ」の目的は、子どもたちの体力の向上を追求するとともに、町民全体が自然な形で運動やスポーツと接し、文化活動に参加し、自分を発見したり、自分の可能性を拡大することや、他者の視点に立って行動できるような人間になることを目指しており、幼児から高齢者に至るまでの多くの住民に活動の場を提供しようとしている。
 上富田町においては、事業所、学校、幼稚園などで、始業前や休憩時間に、町オリジナルの健康体操「かみとんだ体操」、ラジオ体操やリズム体操が行われ、早朝ウォーキングの町民、夜間にソフトボールやソフトバレーボールに汗を流す町民がいたことから、こうしたニーズをふまえて総合型地域スポーツクラブ「くちくまのクラブ」が設立された。
 「くちくまのクラブ」の特色は、他都市では主に行政が行っている業務をここでは民間クラブが実施しているという点にある。関係者以外に事業を支援しているのは、クラブの顧問弁護士、保険代理店、企業経営者、公認会計士、スポーツ少年団指導者、体育指導委員などであり、さまざまな人々がそれぞれの専門領域からクラブ運営に携わっている。文字どおり町をあげての運動・スポーツの推進であり、生涯学習の実践であり、コミュニティ形成の場となっている。
 
 
 
  参考文献
・くちくまのクラブ広報誌『くちくまのクラブ 第1号〜第18号』(和歌山県上富田町くちくまのクラブ)
 
 
 
 
  



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