登録/更新年月日:2006(平成18)年8月18日 |
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(1)背景 経済活動の停滞、過疎化、少子化、高齢化等の山積する社会問題や、住民の求めるサービスの多様化に対して、これまでのように行政がすべてに対応することは、財政的にも難しくなってきている。こうした状況下において、今や様々な社会サービスの業務が民間に移行される傾向にある。しかし、民間としても、営利や生産性といった経済性の追求が求められる以上、地域のすべての問題を請け負うことはできないと言える。 また、一方では、地域社会にとっても、関わりが特別に深いといえない民間の取組は、求めるサービスを的確に提供されるか否かといった不安もある。このように、行政や民間だけでは、地域社会の有する課題に取り組むことは、難しい状況になっている昨今、地域コミュニティの活性化は、その地域に住んでいる住民自身で取り組まなければならない状況にあるといえる。 そこで、注目されているのが、「コミュニティ・ビジネス」である。 (2)定義 コミュニティ・ビジネスとは、地域の人々が、地域に眠っている資源(労働力、原材料、技術力など)を活用して行う小規模ビジネスで、利益の追求に加え地域課題の解決を目指すものである。住民が主体となり、地域の資源(人・モノ)を活用しながら、地域にある様々な課題を解決する地域密着型ビジネスで、「コミュニティ」という地域貢献の側面と、「ビジネス」というマネジメント、地域活性化といった側面を持っている。個人や企業の利益を第一とせず、社会性(公共性)を優先する点では、NPOの活動にビジネス的センスを加えた活動と捉えることもできる。 コミュニティ・ビジネスに関する定義は様々に行われているが、以上のことから、「コミュニティ・ビジネスとは、地域住民が主体となり、地域の抱える課題を解決したり、地域住民ニーズに応える活動をビジネスとして行い、住みやすい地域づくりに貢献する取組」と定義することができる。 こうしたコミュニティ・ビジネスの取組は、全国各地域で見られるようになってきており、新しい産業の形態としても注目されている。 (3)コミュニティ・ビジネスと生涯学習 地域経済の新たな担い手として注目されているコミュニティ・ビジネスは、地域ニーズへの対応や地域課題の解決を事業目的としている点、事業を通じて地域での就業の場や社会参加の機会等を提供している点から、生涯学習との密接な関係性が指摘できる。 生涯学習では、行政機関等が実施する現代的課題や地域課題に関する講座等の修了者が、学習成果の活用や学習の継続を図るために、グループ・サークルとして組織化を図り、自主的な活動を展開するケースも多く見られる。こうしたグループ・サークルは、まさにコミュニティ・ビジネスの担い手として期待されるところである。このように、コミュニティ・ビジネスは、生涯学習による学習成果の活用としての側面も期待できる。 br> |
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参考文献 ・細内信孝著『コミュニティ・ビジネス』、中央大学出版部、平成11年 |
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