登録/更新年月日:2008(平成20)年11月10日 |
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一言で「北欧」という場合、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンのほか、デンマーク領フェロー諸島、同グリーンランド及びフィンランド領オーランド諸島(いずれも自治権を有する)が含まれる。これらの地域の総人口は約2300万人である。北欧は地理的にきわめて多様であるが、歴史、文化、言語の面では類似する点が多いことから、従来より各国の政治的な結びつきが強い。また市民活動と非政府機関(NGO)のネットワークが発展していることも北欧の特徴であり、これらの情報交換のための会合も年間を通して頻繁に開催されている。1995年までに、デンマーク、フィンランドとスウェーデンがEUに加盟したことから、北欧地域のみの協力関係を維持することの意義が希薄になってきているが、民主主義を基調とする政治や社会の「北欧モデル」を他のEU諸国に広めていこうとする動きもみられる。成人教育の分野には、とくにこうした傾向が顕著に現れている。 20世紀に世界に注目された教育の「北欧モデル」の特色としては、民主主義、平等、進歩主義的性格とプラグマティズム、社会民主主義を理念とする政党による政治の影響、総合制学校と生涯学習の普及が指摘されることが多い(Antikainen 2006)。しかしながら、こうした北欧諸国の学校教育に共通の特色は1945〜75年までの北欧の「社会民主主義の黄金期」に形成されたものであった。1970年代のオイル・ショック移行の景気低迷により、北欧でも福祉と同様に教育の世界においても公財政支出を抑制する必要が生じ、80年代末からはイギリスを参考にした新自由主義的な教育改革手法が取り入れられ、「北欧モデル」にもゆらぎが現れている。 br> |
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参考文献 ・Antikainen, A. (2006) “In Search of the Nordic Model in Education”, Scandinavian Journal of Educational Research, Vol. 50, No. 3, July 2006, pp. 229-243. ・澤野由紀子(2007)「北欧における学力政策−平等(equity)と質(quality)の保障を目指して−」大桃敏行他編『教育改革の国際比較』、ミネルヴァ書房 、56〜74頁 |
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