登録/更新年月日:2009(平成21)年9月1日 |
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子どもたちは、年齢に応じて、さまざまな形で絵本や本に触れている。乳幼児が絵本に触れる機会としては、ブックスタートや読み聞かせがある。ブックスタートとは、1992年にイギリスで始まり、平成12(2000)年に日本に紹介され、開始された取り組みであり、赤ちゃんに絵本を開く楽しい体験といっしょに絵本を手渡す活動を指す。ブックスタートは、現在、全国の自治体で0歳児検診などの機会に実施されている。このブックスタートの目的は、「絵本を読む」のではなく、大好きな人と一緒に、その楽しいひとときを「分かち合う」ことである(ブックスタート, http://www.bookstart.net/)。ブックスタートにおいて実感されている効果としては、親子間のコミュニケーションの促進などがある。 読み聞かせは、絵本や本を声に出して読んでもらうことであり、子どもたちは、特に乳幼児から小学校低学年の時期にこの読み聞かせを体験することが多い。読み聞かせには、読み手と聞き手の間のコミュニケーションがあり、情緒の発達やことばの発達、読書のレディネスの形成への効果が期待されている。読書のレディネスとは、読書を楽しむことが可能な心理的準備状態が整っていることを指す。具体的には、1つ1つの言葉や場面をイメージ化したり、場面をつないで1つのストーリーの流れを楽しんだりすることができることを意味している。読みの能力を発達させるためには、聞く能力を発達させる必要があり、この点で、読み聞かせは子どもたちのその後の読書にとって非常に重要なものであると言える。 先述のように、読書は子どもたちの社会化の過程において重要な役割を果たすと考えられているが、読書の効果について言及した文献や研究を整理すると、読書に期待される効果には、「心理的側面」だけでなく、「学力的側面」に関連した内容も多く見られる。しかし、「心理的側面」、「学力的側面」のいずれに関しても、読書の効果に関する実証研究は少ない。 子どもを対象とした読書の効果に関する研究成果としては、学力的側面において、自由読書(読みたいから読む、読みたい本を読むという読書)が読み書き能力と関係があることが示されている。また、心理的側面においては、読書量が多いほど共感性が高まることなどが示されている。このような読書の効果は、どのような内容の本を読むかによって異なることや、年齢によって異なることも示されており、さらなる研究が求められている。 br> |
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参考文献 ・Krashen, S. D. 長倉 美恵子・塚原博・黒沢浩(訳). 『読書はパワー.[The power of reading : Insights from the research]』 金の星社, 1996. ・鈴木佳苗 読書活動への科学的アプローチ 学校図書館メディアセンター論の構築に向けて(図書館情報学会編), 勉誠出版, 2005. ・鈴木佳苗 各種メディアの心理学的な影響・発達研究 子どもの情報行動に関する調査研究 図書館調査研究リポート, No.10, 国立国会図書館, 2008. |
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