登録/更新年月日:2007(平成19)年12月20日 |
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【開かれた大学】 生涯学習社会の実現のために、大学の果たすべき役割や意義が問い直されている。また少子高齢社会を迎え、大学も生き残り戦略としてそのあり方を模索している。従来はごく限られた特定の人たちの学問の府であった大学は、より多くの市民がその教育資源を共有し活用できる「開かれた大学」として生きようとしている。大学が周辺地域の市民ボランティア団体と連携したり、キャンパス全体をボランティア活動の舞台として活用してもらうというような大学と市民との新しい関わり方も見られるようになってきた。ここでは、特にキャンパスを主な活動の場とする市民ボランティアについて説明する。 【生涯学習とボランティア】 ボランティアは、限定された領域や施設における活動のみでなく、人間生活のあらゆる領域の課題に対応する活動である。その生涯学習との関連については、1)ボランティア活動そのものが学習プロセスである、2)ボランティア活動を行うための知識・技術を習得する学習あるいは学習成果を生かす実践としてのボランティア活動がある、3)人々の生涯学習を支援するボランティア活動によって生涯学習が推進される、という視点があげられる。市民ボランティアは、これらの意味合いが複合的に絡み合った活動を展開している。 【多様な学習者と大学】 生涯学習時代の到来と共に、市民は受け身の学習者から、ぞれぞれのニーズに応じて主体的に選択する創造的な学習者へと成長してきた。そのような市民の多様な学習要求に応えるために、大学は在学生ではない一般市民をも対象とした公開講座や移動講座を実施したり、社会人入学・編入学や科目等履修生・聴講生の受け入れを積極的に行っている。これは、目的意識や方向性が明確な学習者へのサービスである。 しかしながらもう一方で、地域には漠然とした学習意欲を持ちながらも行動できないままの潜在的学習者が存在している。自分でもはっきりとは分からないが何かやりたい、人の役に立ちたい、社会ともっと関わりを持ちたい、新しい何かを学びたい、という人は結構いるのである。大学は、このような人たちがこれまでの人生経験や学習の成果を生かす場を作り、自分さがしのきっかけや生きがいづくりのお手伝いができるように、キャンパスを活動の舞台として提供できる。 【教育資源の活用と再生産】 市民を受け入れることは、大学にとっても新たな可能性を広げる機会となる。市民の活動や存在は大学の教職員や学生によい刺激となり、キャンパス全体が活性化する。大学にはいろいろな分野の教育資源(人材、学習プログラム、施設・設備、教材・資料を含む情報等)がある。近隣の人々がこれらの資源を活用しながらボランティア活動を行うことが、自己の向上や再発見、自己実現につながり、次の活動へと発展するならば、資源への投資効果もより評価される。また、人生経験豊富な市民のボランティア活動から、新たな教育資源が生み出される可能性も秘めている。それが在学生や教職員に還元されるという循環もみられるのである。 br> |
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参考文献 ・大島まな・永渕美法「大学における市民ボランティアの意識と特性に関する研究」日本生涯教育学会論集20、1999年 ・生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」平成4(1992)年 ・岡本包治「生涯学習と学習ボランティア」日本生涯教育学会年報、第14号『生涯学習とボランティア』、1993年 |
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