登録/更新年月日:2008(平成20)年12月31日 |
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日本図書館協会(以下、日図協という)は明治25(1892)年に設立された文部科学省所管の社団法人で、その目的はすべての図書館施設と図書館関係者の連絡、提携のもとに、図書館事業の進歩発展を図ることである。会員は主に個人会員と施設会員からなる。個人会員は日図協の趣旨に賛同する個人、施設会員は図書館、学校、公民館図書部、読書会またはこれらの施設を有する法人、その他の団体である(定款第7条)。会員数は、平成20(2008)年3月31日現在、個人会員が4,982名、施設会員が2,500機関である。 日図協では、昭和55(1980)年の定款と役員選挙規程の改正により、個人会員だけでなく施設会員も役員の選挙権と被選挙権、会議の議決権を持ち、個人会員選出と施設会員選出の役員数の比率をおおむね3:2に設定している。この日図協における個人会員と施設会員の関係は、日図協に固有の現象なのだろうか、それとも他の団体にも見られるのだろうか。この点を考えるために、本稿では、公共図書館と同じ社会教育施設である公民館・博物館に関する公益法人の会員の種類と権利の現状を明らかにし、日図協との比較を行う。本稿で日図協と比較する公益法人は、全国公民館連合会(以下,全公連という)と日本博物館協会(以下,日博協という)である。 全公連は昭和26(1951)年に設立された文部科学省の社団法人で、その目的は全国の公民館の連絡提携と公民館活動の振興発展を図ることである(定款第3条)。昭和25(1950)年、社会教育連合会主催の全国公民館職員講習会で公民館の全国組織の結成が話題となり、その後、林克馬(福岡県浮羽郡水縄村公民館副会長)と進藤譲(埼玉県川越市公民館長)が発起人となって、準備委員会が開かれた。翌昭和26(1951)年には全国公民館代表者会議が開かれ、全公連の前身組織である「全国公民館連絡協議会」が結成された。初代会長には北村政義(長野県浦里村公民館長)が就任した。昭和40(1965)年には社団法人に移行し、団体名を「全国公民館連合会」に改め、今日に至っている。初代会長には守田道隆(元八幡市長)が就任した。 日博協は昭和3(1928)年に設立された文部科学省所管の財団法人で、その目的は青少年及び成人に対する社会教育の進展を図るため、博物館の振興のための調査及び研究開発並びに指導及び援助を行うことである(寄附行為第4条)。棚橋源太郎(元東京博物館長)と平山成信(日本赤十字社社長)が準備し、昭和3(1928)年、発起人会が開かれ、団体名を「博物館事業促進会」とすることが決められた。初代会長には平山が就任した。昭和6(1931)年には、日図協と日博協の会員である松本喜一(帝国図書館長)の提案で、団体名を「日本博物館協会」に改めている。昭和15(1940)年には社団法人に移行した。初代会長には荒木貞夫(陸軍大将)が就任した。昭和61(1986)年には、協会活動の一層の充実を図るため、社団法人を発展的に解散して財団法人を設立し、今日に至っている。初代会長には徳川宗敬(元貴族院副議長)が就任した。 この3団体は、いずれも文部科学省所管の公益法人である。また、この3団体は、いずれも社会教育団体振興協議会に加盟している。 br> |
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参考文献 ・春田和男「日本図書館協会の会員と役員の構成に関する考察」『日本図書館情報学会誌』52巻3号、2006年9月、pp.152-172 ・春田和男「日本図書館協会の会員の種類と権利に関する考察―社会教育関係団体との比較から―」『日本生涯教育学会論集』28号、2007年7月、pp.51-60 ・春田和男「日本図書館協会における個人会員と施設会員の選挙権・被選挙権等に関する考察」『日本図書館情報学会誌』53巻4号、2007年12月、pp.216-235 |
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