登録/更新年月日:2013(平成25)年4月27日 |
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スコットランドでは、SCQF(Scottish Credit and Qualifications Framework, スコットランド単位・資格枠組み)が、添付資料の概念図にあるように、12の到達度水準として設定されている。 スコットランドは、大学入学の標準的年齢を17歳としてきたことに見られるように、イングランド・北アイルランドそしてウェールズとは異なる学校系統となっている。そのため、「資格・単位枠組み」においても、ほか3地域との互換性を前提にしつつ、当初から独立した形で設定されてきている。 SCQFでは、普通学力を対象とする中等教育水準資格群の下位において、義務教育年限終了後に学習に遅れがみられる者向けに、イングランド・北アイルランド・ウェールズにおけるエントリー資格水準よりもきめ細かく2つの水準に分割して設定している。その2水準に対応するアクセス1資格とアクセス2資格は、生活スキルをも認定していく。アクセス1資格とアクセス2資格は、SCQFにきちんと位置づけられているので、袋小路の学習成果認証ではない。学習者はその習得速度に応じて、追ってその上位の標準的な到達度を目指すことになる。 SVQ(Scottish Vocational Qualifications, スコットランド共通職業資格)とは、イングランド・北アイルランドそしてウェールズにおけるNVQとの互換資格として設定されている。ただし、SVQは、2013年4月段階では従来の5水準のままとなっている。また、新たな形の「見習教育訓練(Apprenticeships)」は、スコットランドでも政策推進のもと実施されている。そして、SCQFの下にある短期高等教育で取得した職業資格によって、学士課程への編入も円滑にできるように制度設定されていることも知られている。 ただ、見事に設計されているように見えるSCQFにも課題がある。中でも中等教育から高等教育への接続についてが改めて大きな課題となっている。その課題は、入試における競争が厳しい学部学科では18歳入学に移行しつつあることから派生している。学業成績が優秀な者も、従来入学標準年齢が1年遅いイングランドなどの大学に進学を志望する者に限らず、標準18歳取得の資格である「特級(Advanced Higher)」を取得してから、大学に入学する傾向が強まっている。その一方、大学側がそれを2年次編入としてでなく1年次入学として従来の教育課程と修業年限を維持しようとする。そうなると同じ1年生であるにもかかわらず入学者間でSCQFでの資格水準が異なることとなる。たしかに成人を対象とした入学者選考は、スコットランドで継続されている。ただ、日本で言えばいわば高校2年修了時の到達度水準で入学となっている成人にとって、入学時時点ですでに1学年上の到達度にある者たちと同級生となるのである。よって入学での選別度が高い学部・学科では、同級生と一緒に授業について行くのは容易でなく、その大変さを筆者自身も2013年3月で取材している。 一方ウェールズでは、資格単位の共通枠組み「ウェールズ単位・資格枠組み」(Credit and Qualification Framework for Wales (CQFW)が設定されている。これはウェールズの自治権拡大に従って、イングランド・北アイルランドのQCF (Qualifications and Credit Framework, 資格・単位枠組み)とは、別立てとなっているものである。この「ウェールズ単位・資格枠組み」には独自な用語が目立つものの、それらはQCFにおけるものと互換で事実上同一内容のものがほとんどである。元々同じであった教育制度が依然としてほとんど共通していることがその理由である。 br> 添付資料:「スコットランド単位・資格枠組み」(2013年4月現在) |
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参考文献 ・David Raffe, Jim Gallacher, and Nuala Toman.2008. "The Scottish credit and qualifications framework: lessons for the EQF." European Journal of Vocational Training No 42/43. ・柳田 雅明. 2004.『イギリスにおける「資格制度」の研究』多賀出版 |
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