登録/更新年月日:2006(平成18)年10月27日 |
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ア.出前講座の課題 広域化、有料化、脱行政化が課題であると思う。そのすべてを解決すると思われるのが、脱行政化である。 広域化については、出前講座は自治体単位で行われているが、他の自治体の住民から、まちの制度や歴史等についての依頼があったときに、現状では応えられない。地域課題を考える際に、環境や防災などをはじめ従来の自治体単位ではこなしきれないものが多い。 有料化は、行政の情報公開や説明責任を果たす意味での行政編の の内容についてはなじまないが、行政を含む公共公益以外の内容については、受益者負担の考え方があっていい。 上記を解決するためには脱行政化が必要である。まちづくり出前講座を運営する上で、草創期は行政をあげて市民ぐるみで進めるために、行政が事務局を受け持つことが望まれるが、軌道に乗ってきた場合は、公益法人等の行政以外の組織が受け持つことが望ましいと考える。 行政以外の事務局が出前講座を運営すれば、休日や夜間の申し込みや問い合わせが可能になったり、幅広いメニューの出前などでより柔軟な運営も可能になるであろう。しかし、市民及び行政からの信頼に足りうる法人が運営することが前提であるのはいうまでもない。 八潮市では、市の出資法人である財団法人に出前講座を委託すべく準備を進めている イ.まとめー出前講座で地域ぐるみの学びの輪を 出前講座の運営にあたり、「ヒト、モノ、カネ」の3要素のうち、モノとカネがかからない。ではなにがかかるか、というと、ヒトが必要なのはいうまでもない。しかし、それは「かかる」(消費される)のではなくて「つくられる」(生産される)のであると考えたい。準備から実施にいたるまで、各職員が時間と体力を使っているのは事実だが、実はそれらを通じて、職場の中の新しい自分を、そして住民との新しい関係を「生産」しているのだ。職員の資質向上につながるのは、こうしたことからである。出前講座を実施すれば行政全部局にメリットがある。行政の施策について知らせることができる、まちの課題について学びあえる、という点において、出前講座は今後の行政各分野の有効な手段となるはずである。 加えて、市民の学習の発表の場としての側面も重要である。生涯学習時代に、学ぶことは奨励するが学んだ成果を発表する場が少ない、という実情が全国的にある。大人も子どもも出前講座によって日常的に発表の場ができるということが必要と考える。 さらに、出前講座によって地域を挙げて市民ぐるみで学びの輪が広がる。市民すべてが学ぶ人であり教える人になれる、という生涯学習によるまちづくりが、今後さらに全国的に広まっていくことを望んでいる。 br> |
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参考文献 ・松澤利行『出前講座がまちを変える−21世紀のまちづくり・人づくり』全日本社会教育連合会、平成13(2001)年1月 |
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