生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

自己点検・評価の技法 (じこてんけん・じこひょうかのぎほう)

キーワード : 評価項目、評価指標、数値目標、アウトプット、アウトカム
井上昌幸(いのうえまさゆき)
1.評価項目、評価指標の決定
  
 
 
 
   自己点検・評価を実施する場合には、それぞれの状況に応じた方法で行われる必要があるが、およそ次のような手順で行われる。なお、以下の手順は評価を中心に記述していくものとする。
(1)点検・評価可能な目標・計画の策定
 自己点検・評価を行うためには、まず評価可能な目標や計画を策定する必要がある。できるだけ評価しやすい、具体的な目標・計画の策定が重要であり、目標・計画を立てる段階からどのような評価を行うかを考える必要がある。実際には、目標・計画の策定と次項の評価項目、評価指標等の決定は、同時に行われることになる。
(2)評価項目、評価指標の決定
 目標・計画の項目に沿って、何について調べるかという評価項目を決定する。この評価項目は、事業の実施状況や達成状況などを設定する場合が多い。そして、この評価項目を測定するための評価指標を決定する。評価指標を決定する際には、効率性、費用対効果、必要性、公平性、優先性などに着目する。指標については、事業の結果(参加者数、利用率等)を示す「アウトプット」や、事業の成果(満足度、居住意識の変化等)を示す「アウトカム」で示すことになるが、アウトプットだけでなく、アウトカムの指標を用いることにより、評価に説得力を持たせることができる。この際も、できるだけ数値目標を設定した方が、客観性の高い評価となることから、近年の自治体の計画等においても、数値目標を設定する事例が増えている。
 数値目標を設定する際の拠り所としては、次のようなものがある。
a)本来めざすべき水準を直接設定する(絶対的な基準)
b)既定・既存の目標値(国や都道府県の設定している基準値等)
c)時系列データに基づく方法(過去の実績をもとに設定する)
d)自治体の外に基準を求める方法(全国平均値、全国第一位の県の水準等)
(3)評価技法の選択
 設定した評価項目、評価指標のタイプにより、数値化したものであれば定量的評価、文章化したものであれば定性的評価を行うことになるが、どのような評価技法を用いるかを選択する必要がある。評価技法としては様々なものが考えられるが、例をあげると次のようなものがあげられる。
a)目標値に対する百分率の利用(達成率、充足率、利用率、到達率、開催率等)
b)指数の利用(時系列指数、規模別指数、全体指数等)
c)効果測定の利用(利用者アンケート、職員アンケート)
d)記述法の利用(利用者等の反応等を記録し、達成度や効果を記述)
 また、評価対象によっては、状況に応じた評価技法を工夫しながら適用していく必要がある。
 
 
 
  参考文献
・井内慶次郎監修 山本恒夫・浅井経子・椎廣行編『生涯学習[自己点検・評価]ハンドブック』文憲堂、平成16(2004)年
・『社会教育事業の評価指標の開発に関する調査研究報告書』国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、平成17(2005)年
・小野達也、田渕雪子著『行政評価ハンドブック』東洋経済新報社、平成12(2001)年
 
 
 
 
  



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