生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

青少年とキャンプ (せいしょうねんときゃんぷ)

キーワード : キャンプの形態、心身ともの開放、非日常の生活や体験、遊び感覚の学び、組織キャンプ
渡辺武和(わたなべたけかず)
3.野外教育としてのキャンプ
  
 
 
 
  【定義】
 「野外教育としてのキャンプ」は、その特徴から「教育(的)キャンプ」や「組織キャンプ」と呼ばれることが多い。ここでは「組織キャンプ」と呼ぶこととする。
 組織キャンプとは、自然の豊かな環境のなかで、小集団を基本とした民主的な共同生活を送ることである。その生活全体には教育的な意図・目的が持たれており、それらの意図・目的を効果的に達成するための指導者とプログラムを持ったキャンプのことである。
【説明・動向】
 教育的にキャンプを用いるようになったのは、アメリカで1800年代後半であると考えられている。アメリカでの組織キャンプは、当初、レクリエーション的色合いが強いキャンプであった。その後、教育学や心理学などの影響を強く受け、キャンプを教育プログラムの一部として用いるようになった。第2次大戦後、人口増加などに伴い組織キャンプを実施する団体が増え、青少年にとって組織キャンプが有効なものとして一般に認識されていった。
 組織キャンプについては、青少年団体が積極的に取り入れ、活動してきた歴史もある。イギリスで始まったボーイスカウトやガールスカウト運動。YMCAやYWCAといったキリスト教青少年団体などが活動の一環としてキャンププログラムを展開していった。これらの青少年団体は、組織キャンプを世界中に広めていった。
 日本においては、1920年代、青少年育成を目的とした組織キャンプがYMCAやYWCA、ボーイスカウトなどによって実施されている。その後、1950年代になると行政が積極的に組織キャンプを実施するようになる。
 現在では、行政・民間とも多数の組織キャンプを実施している。しかし、少子化や余暇活動の多様化などにより組織キャンプに参加している子ども達は減少している。参加者の特徴としては、年齢が幼児から高齢者と広がりを見せ、身体的・精神的・社会的にハンディキャップを持つ人達に対しても積極的に組織キャンプを実施している。また、環境教育や冒険教育などのプログラムを取り入れる組織キャンプも増加している。不登校やひきこもり、非行など問題を抱えた青少年に対してキャンプをセラピーとして用いていることも実施されている。
【課題】
・組織キャンプ実施するにあたる諸課題
1)キャンプの実施期間
2)キャンプに係るコスト
3)プログラムの内容
4)指導者の養成
・組織キャンプそのものの課題
1) キャンプの効果に関する研究の充実
2)「組織キャンプ」の理解と啓蒙
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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