生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2010(平成22)年10月10日
 
 

文化と生涯学習 (ぶんかとしょうがいがくしゅう)

culture and lifelong learning
キーワード : 科学・芸術・道徳、文化活動、、自ら行う文化活動、文化芸術、総合的領域
関貞雄(せきさだお)
2.生涯学習としての文化活動
 
 
 
 
  【説明】
 生涯学習は、人間の発達を自己実現としてとらえて生涯にわたる学びを推進する。そのため、人びとは、文化の中から主題あるいはテーマとなるものを選び、生活の中で行う営みにより自己の精神的・肉体的な向上をめざす。この場合の自発的な営みが広い意味での文化活動である。したがって、生涯学習そのものを広い意味での文化活動の中に含めることもできるであろう。ある人が何らかの文化活動をしようとすれば、まず学習をして、その文化に関する知識や技術を身につけなければならないことが多い。むしろ、文化活動では、例えば絵を観たり、音楽を聴いたりしていることの中で学習していることが多く、学習と文化は切り離すことができない関係にある。
1)文化活動の仕方には、次のような3つの活動が考えられる。
ア.鑑賞活動ーこれは、例えばオペラ、映画、美術展覧会など芸術作品を観たり聴いたりして楽しむことで、広い意味の「遊ぶ喜び」を享受する活動であるといえよう。
イ.自ら行う文化活動ーこれは、音楽を演奏することや、ある研究をして発明をすることにみられるように、自ら行うことを通して広い意味での有形・無形の文化を「創る喜び」を享受する活動であるといえよう。また、有形・無形の作品などの展覧会や発表会等で表現することも自ら行う文化活動である。さらに、これには科学などの研究活動のみならず、茶道、華道、囲碁・将棋などの日常行う文化活動も含まれる。
ウ.文化に関する学習活動ーこれは、趣味や教養などの講座はじめ、科学、道徳および芸術に関する講座など広い意味の文化に関する学習活動である。したがって、主として文化に関する理論や、鑑賞・創造の方法などの知識や技術の学習を通して「学ぶ喜び」を享受する活動である。
2)生涯学習としての日常的な文化活動(文化芸術の活動)の対象
 国の「文化芸術振興基本法」(平成13(2001)年公布)による「文化芸術」には、その振興の観点から文化活動として次のような活動が挙げられている。
・芸術(文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術)
・メディア芸術(映画、漫画、アニメーション、及びコンピュータの電子機器を利用した芸術)
・伝統芸能(雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他のわが国古来の伝統的な芸能)
・芸能(講談、落語、浪曲,漫談、漫才、歌唱その他の芸能)
・生活文化(茶道、華道、書道その他の生活に係る文化)
・国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽)
・文化財等の保存及び活用(文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策)        
・地域に於ける文化芸術(各地域に於ける文化芸術の公演、展示等への支援、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能)
 以上の各文化芸術は、国際交流や支援活動を行う観点からさらに細分化される。例えば、美術の内容は、日本美術、東洋美術、西洋美術、現代美術、写真、工芸、書道、デザインなどがあげられる。また、音楽は、クラシック音楽(オーケストラ、合唱、吹奏楽、オペラ、室内楽、楽器、声楽など)、ポピュラー音楽(ロック、ホップス、ジャズ、フュージョン、歌謡曲など)、日本の伝統音楽(長唄、浪曲、義太夫、和太鼓など)およびその他の音楽(外国の民俗音楽や民族音楽など)に分けられている。
 
 
 
  参考文献
・山本恒夫「生涯学習と文化活動」日本生涯教育学会編『生涯学習事典』東京書籍、1990、232頁
・文化庁『文化芸術振興基本法』平成13(2001)年
 
 
 
 
 



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.