生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

エル・ネット (えるねっと)

"el-Net"(Educational Information Network via Satellite Communication)
キーワード : 衛星通信、VSAT、子ども放送局、オープンカレッジ、著作権契約システム
下川雅人(しもかわまさひと)
2.エル・ネットの成果
 
 
 
 
   エル・ネットは『双方向』『地方発信』『二次利用』の3つを目指したシステムであった。
【双方向】
 エル・ネットによる双方向番組には大きく2つの形態に分けられる。副会場がVSAT局の場合と受信局の場合である。主会場はHAB局、VSAT局どちらでも可能である。副会場がVSAT局の場合は、副会場からの映像をエル・ネットの1回線を使い、主会場まで送る。主会場では、主会場の映像と副会場の映像を時系列に切り替えたり、ピクチャーインピクチャーで表現して番組に構成し、もう1回線で全国に向けて放送する。
 副会場が2ヶ所以上の場合VSAT局であれば、さらにもう1回線増やし、発言要求端末(PC)により、発言の際に回線を切り替えてもらうことで、多地点双方向の会議等が可能となる。
 次に副会場がVSAT局ではない場合は、地上回線によるテレビ会議システム、インターネットテレビ会議システム、または携帯電話によるテレビ会議システムなどの通信機器を副会場に設置して主会場と結ぶことになる。番組構成については、エル・ネットの回線を使った場合と同じであるが、副会場の画像や音声は6メガバイトの通信速度をもつエル・ネットにくらべると劣化したものなる。「子ども放送局」「オープンカレッジ」「教職員研修」などで、さまざまな双方向番組が提供されている。
 双方向番組において問題となるのが、双方向時の音の回り込み(ハウリング)である。同一会場で複数の人がテレビ会議に参加する場合、スピーカーの音をマイクが拾い、話者の声にエコーがかかり、非常に話しづらい状況になる。ヘッドセットタイプのマイクやピンマイクにしたり、スピーカーの向きを変えるなど、ノウハウが必要な部分である。
【地域発信】
 エル・ネットの番組のなかには、各地のVSAT局から発信されている番組も多くある。当初、各地からの発信を促進するためにマニュアルの作成や研修を行うことを計画されたが、各VSATに導入されたカメラや収録機器等が、それぞれ地域で異なったものとなっていたため、統一的な研修等を行うことが難しかった。また、職員の異動により習得された技術が引き継がれずに失われてしまうこともあった。しかし、「オープンカレッジ」等での主会場や双方向質疑の会場として、各地からの発信を行っていく中で、徐々に地域独自の番組を制作し、継続的に放送するVSAT局がでてきた。
 各地のVSAT局では、全国に教育番組を発信することについて、次のようなメリットを感じている。学校教育については、地域教材を開発し放送することによって、児童・生徒の学習意欲を喚起することがあげられる。教師については教材開発に参加することで、教師の力を地域や他の学校にも提供する意識が芽生えてきたことがあげられる。社会教育では、地域学や郷土の内容について放送することにより、県民の学習意欲が高まったことをあげている。総じて、メディアで発信することにより、学習者の意欲の向上につながるとしているところが多い。
 これらの成果をふまえ、平成17年度からは、地方公共団体、大学、民間団体等がコンソーシアムを構成し、VSAT局から全国に番組を発信する「地域における教育情報発信・活用促進事業」が6地域おいて展開されている。
 
 
 
  参考文献
・岡本薫「インターネット時代の著作権」(財)全日本社会教育連合会、2003年
・高等教育情報化推進協議会『エル・ネット「オープンカレッジ」について』(報告書)、(平成11(1999)年度〜平成16(2004)年度)
・「エル・ネット活用事例集 見る・学べる・エル・ネット」文部科学省参事官(学習情報政策担当)付、2004年
 
 
 
 
 



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