登録/更新年月日:2009(平成21)年9月14日 |
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【定義】 ここでいう事象は、人間の「意識」が「情報」を介して捉えたある瞬間の「物事」のこと。この場合の「物事」には、「もの」のみならず「できごと」も含まれる。 【説明】 一般に「物事」は経験的実在の一部である。経験的実在は、実在からの信号が、人間の脳の神経回路網によって認知されうる実在のことである。実在を想定することについては様々な議論があるが、過去には知り得なかったことが次々と発見されてきたこれまでの歴史を見ると、実在を想定し、発見を実在から経験的実在への転移と考えることはあながち無理とは言えないであろう。現段階では認知し得ないとしても、観測装置の発達によりいずれは認知し得るものも多いであろうから、実在を想定すれば、経験的実在は実在の一部でしかないことになる。 「情報」を「意識」と「物事」の媒介的存在とした場合、その「情報」ないし「意識」の両方あるいはそのいずれか一方が欠けていれば、経験的実在を捉えることはできない。したがって、先に断ったように「物事」は経験的実在の一部でしかない。 以上のことを事象把握の枠組として示したのが、添付資料・図1である。 図中の事象レベルの「意識─情報─物事」は、意識が情報を介して捉えた物事が事象であることを示している。メカニズム・レベルはそのような「意識─情報─物事」に対応するメカニズムを表しており、これらは、「意識」を生み出すのが神経回路網で、信号が「情報」となり、経験的実在の一部が「物事」である、という対応関係にある。 このような事象の問題を解明しようとする理論の側には、神経回路網、信号、経験的実在に対応し、「意識枠」「情報枠」「対象枠」がある。 その「枠」の中には「内容」があるが、「内容」はそれぞれの枠に対応して、「意識内容」「情報内容」「対象内容」となっている。したがって、「対象枠」の中に「対象内容」があるということになり、普通に対象といえばここでいう「対象内容」を指している。われわれが問題とする対象は、具体的には「対象内容」としての「意識」「情報」「物事」である。それが「情報枠」に入り、「意識枠」にも入って始めてわれわれが捉えることのできる事象となる。 事象レベルの「意識」「情報」「物事」のうちの「意識」や「情報」は、「物事」の中から「意識」や「情報」としての機能を持つものを特に取り出して、「意識」「情報」と呼んでいるにすぎない。したがって、「意識」や「情報」をそれぞれの機能面からではなく、「物事」として捉えることもできるのである。事象理論の側が対象とする意識や情報は、機能的側面ではなく、そのような物事的側面である。それらは構造的には「要素」と「関係」からなっている。 われわれが何かを事象として把握できるのは、対象枠の中の内容(「対象内容」)が情報枠の中の内容となり、さらに意識枠の中の内容になっている場合である。たとえば、「リンゴが転がっていく」ということを事象として捉えることができるのは、対象枠の内容として「リンゴが転がっていく」という「物事」(ここではできごと)があり、それが情報枠の中の内容となり、さらに意識枠の内容にもなっている場合である。 br> 添付資料:事象把握の枠組 |
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参考文献 ・山本恒夫『事象と関係の理論』筑波大学生涯学習学研究室、2001 |
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