登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日 |
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【学習情報提供システムの構築とICTの導入 】 30年間の社会を大きく変えたものに情報化の進展があるが、生涯学習政策でも学習情報提供システムの整備とICTの導入の検討が行われた。 昭和62(1987)年に学習情報提供システムの整備に関する調査協力者会議が「生涯学習のための学習情報提供・相談の在り方」で案内情報の分類を例示し、学習情報のデータベース化の基本的な考え方を示した。全国の生涯学習情報のシステム化に関する調査協力者会議は生涯学習情報の分類と様式の標準化(審議とりまとめ「生涯学習情報の分類と様式について」平成元(1989)年)、県域を越えて相互利用できるネットワーク構築のための全国的情報システムの整備と運用(審議とりまとめ「生涯学習情報の都道府県域を越えた提供の在り方」平成3(1991)年)、およびナショナルセンター機能の在り方(審議とりまとめ「生涯学習情報のセンター機能の在り方について」平成5(1993)年)等の検討を行った。昭和62(1987)年には群馬県生涯学習推進センターと兵庫県立嬉野台生涯教育センターで学習情報提供システムが稼働した。 その後、コンテンツ配信の実験がTV会議システムや衛星通信を使って進められ、平成11(1999)年に衛星回線を使ったエル・ネット(el-Net,教育情報衛星通信ネットワーク)が開始した。エル・ネットは平成20(2008)年よりインターネット回線に切り替えられた。 このように生涯学習支援の情報化が進められたが、地域の身近な学習情報の必要性や伝統的な対面による学習形態の重要性も再認識されている。 【個人の需要と社会の要請のバランス−社会的な課題への対応 −】 30年前、物質的豊かさを手に入れた国民は精神的な豊かさを求めて学習する傾向を強めていた。臨教審は自由化路線、個人尊重を打ち出し、生涯学習政策にあっても個人のニーズに対応することが最優先とされた。 そのような中、行政責任として社会の課題等に応えようとしたのが、平成4(1992)年の生涯審答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」である。現代的課題の学習機会の充実やボランティア活動の支援・推進が取り上げられ、観点として「豊かな人間性」「社会性・公共性」「現代性・緊急性」があげられた。しかし、教養・趣味的な学習に対する人々のニーズは強く、現代的課題の学習機会を開設しても人は集まらないといった状況が各地で見られた。 社会的問題に対する学習ニーズの推移をみると(図1)、その学習ニーズの重みは低下する傾向がみられる。社会教育調査から「市民意識・社会連帯意識」に関する学級講座数の推移をみても、実数は増えたものの学級講座数全体の中で占める比率はそれほど増えていない(表1)。現代的課題等の社会的な問題に生涯学習政策がどう取り組んでいくかは、今後の課題でもある。 また、教育基本法第3条で謳われたように「学習成果を生かす」社会をつくることも課題となっている。ボランティア活動関係の学習ニーズの重みは微増している(図2)。 近年、文教行政が関わる生涯学習政策では地域の教育力向上の観点から地域再生に取り組む傾向がみられ(表3)、平成6(1998)年以降は学社融合や学校支援が、平成13(2001)年以降は子どもプラン等による子ども支援が進められた。 ただし、地域の教育力とは何かは未だ曖昧で、実証研究を通してそれを明らかにしていく必要がある。財政難の中、公費で行う生涯学習支援については社会的な成果(outcome)が求められているが、地域が子どもに関わることで表4〜表6のようなアウトカムが報告されており、地域の教育力解明の手がかりになると考えられる。長野県丸子町丸子北中学校では(表6)、中学校が地域と地域活動等に取り組むことで不登校生徒が4年間で皆無になったという。 br> 添付資料:図1、図2、表1〜表6 |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習政策30年と日本生涯教育学会」日本生涯教育学会年報30号、平成21年。 ・下川雅人「エル・ネット」日本生涯教育学会『生涯学習研究e事典』。 ・長野県阿南町立阿南第二中学校長・小室邦夫氏より資料提供『地域と共に育ち、地域と共に学ぶ学校』 |
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