登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日 |
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我が国の文教関係の生涯学習政策では、昭和33(1958)年に職業訓練法(昭和60(1985)年職業能力開発促進法に改名)が制定されるなど、学校外の職業教育・訓練関係の所管が社会教育から労働・雇用関係部局に移った経緯もあり、どちらかといえば経済的価値よりも人間的価値が重視されてきた。しかし、近年は女性の社会参画の促進を図る必要や平成不況の中で大量のフリーター・非正規社員対策の必要からも、職業教育を無視できなくなりつつある。 これまでは職業教育に関する生涯学習政策として、専修学校関係の施策や大学の社会人対応に関わる施策、女性のキャリア教育関係の施策等が取り組まれてきた。現場では、ビジネス支援を行う公共図書館等も出現している。また、平成20(2008)年には中教審に対して「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」が諮問された。 しかし、表5の学級講座数の推移をみると、「職業知識・技術の向上」関係のそれは、IT関係を除くと減少傾向にある。それに対して、学習ニーズの重み(職業関係とIT関係を学習内容で区別している調査では除いた)は平成10(1998)年頃を境に若干減少してはいるが、微減である(図3)。 個人の自立や地域の自立を考えると、地域における職業教育、キャリア教育にいかに取り組むかは生涯学習政策の今後の課題でもある。「再チャレンジのための学習支援システム推進事業(平成21(2009)年度は実践型学習支援システム推進事業)」が行われたが、文教行政が関わる生涯学習政策領域での職業教育・キャリア教育の蓄積は決して豊富とはいえない状況にある。 なお、平成16(2004)年の中教審「今後の生涯学習の振興方策について」(審議経過の報告)では、「『人間的価値』と『職業的知識・技術』の調和」として職業的知識・技術が人間的価値に対置されているが、これは職業教育への対応を強調するために特に経済的価値から取り出したからであり、同報告の中にも経済的価値という言葉がでてくるように、考え方としては、本来は「人間的価値と経済的価値の調和」とされるべきものである。 br> 添付資料:図3 |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習政策30年と日本生涯教育学会」日本生涯教育学会年報30号、平成21年。 |
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