登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【定義】 アメリカで最も代表的な「学習する組織」論を展開したセンゲによれば、学習する組織とは、そこに所属する人が学習に心から取り組んで望む結果を目指し、革新的で発展的な思考の枠組みと共通の目標を持ち、協働して学ぶ方法を学び続ける組織である。 【説明】 センゲの「学習する組織」論は基本的な原則として次の5つを含む。自己マスタリー、 メンタル・モデルの克服、共有ビジョンの構築、チーム学習の4つの原則と、それらを統合するシステム思考である。 1)システム思考 システム思考とは、個々の部分ではなく、全体を考慮するものの考え方である。その実践例として、学習する組織の運営上で有効な思考の原則がレバレッジ(てこ、効果的作用点)である。最小の努力による一つの変化を起こす場所がレバレッジである。学習論にシステム思考を活かすと、システムによる説明と構造が特定パターンの行動を生むことを学ぶ生成的学習となる。 2)自己マスタリー 自己マスタリーとは、学習者が自身の視野を常に明瞭にし、深めることを意味すると同時に、エネルギーを集中し、忍耐力を養い、現実を客観的にみる姿勢を伴って学ぶ能力と技術である。自己マスタリーには、自分で応用できる原則や方法、個人のビジョン、心からの関心を持ち、クリエイティブ・テンションを保つという条件が求められる。 3)メンタルモデルの克服 メンタルモデルとは心に固定化されたイメージや概念であり、その克服のための実践として、自己省察やチーム学習の対話や対人の技術が必要となる。 4)共有ビジョンの構築 達成すべき将来像など他者と共有できるイメージ。個人のビジョンが共有ビジョンの前提であり、価値観,利害,夢など個人のビジョンと同じく多様な形をとって現れる。 5)チーム学習:チームが学習の単位となり、メンバーも急速な成長をとげる。チームの学習が学習する組織の媒介的な構成要素となる。チームの学習は意見交換とディスカッションの2種類の対話からなる。 センゲのモデルでは、個人と全体組織とのフィードバックや、学習プロセスにおけるメンタルモデルの克服や対話を重視し、知識の内容の発展よりは、ものの考え方や知識の伝わり方を含めた実践的な技術とプロセスに価値を置いている。 【課題】 学習する組織の構築のためには次のような課題がある。 1)組織は、従業員の学習をどのように支援できるか 2)個人の学習を組織の学習へどのようにつなげるか 3)学習支援システムの設計のためには何を変革するか 4)どのような問題や落とし穴に注意するべきか 5)学習する組織の成功はどのように測定できるか br> |
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参考文献 ・P.M.センゲ『最強組織の法則』守部信之訳、徳間書店、1995 ・K.E..ワトキンス・V.J.マーシック『「学習する組織」をつくる』神田良・岩崎尚訳、日本能率協会、1995 |
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