登録/更新年月日:2015(平成27)年1月1日 |
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【プログラムの教育効果】 (1)1年間の実践で、子どもたちの体力・身体能力、集中力、持久力、がまんする力、集団行動や相互協力性などに関わる態度・能力は全体として大きく向上した。子どもは、やればできるようになることが分かる。 (2)身体能力は並行して向上しているものが多い。また、身体能力が大きく伸びているときには礼節や自主・自律性も高まるなど、伸びには相関関係がみられる。 (3)放課後児童クラブには毎日来る子どももいれば、時々しか来ない、たまにしか来ない子どももいる。集団活動を中心にしたことで、毎日来る子どもたちが核集団となって他の子どもをリードして引っ張る姿がみられた。集団活動の効果は大きい。 (4)身体能力においても朗唱などの活動においても、下級生の伸びや吸収力は目覚しい。 (5)発表会に向けて伸びが加速し、当日および発表会の後は格段に能力が向上した。発表会には拍手や賞賛などの「社会的承認」の効果がある。 (6)子どもたちができるようになる、子どもたちが楽しんでいると実感できると、指導員も指導が楽しくなるという相乗効果がみられる。教育効果が見え始めるまでにはしばらく時間が必要であるが、子ども集団によい変化が現れはじめると、指導員の意欲も増していった。最後には、指導員がいちいち指示をしなくても子どもたちが自主的に準備や後片付けをするようになり、いじめや小競り合いが減って日常的に異年齢で仲良く遊ぶようになり、指導員が楽になったということであった。 【すべての子どもに必要な体験を保障すること】 現代の日本社会において、体験が不足しているために「生きる力」が育っていないのは、留守家庭の子どもだけではない。日本の子どものほとんどが必要な体験を欠いたまま大きくなっていると言える。「生きる力」を育むためには、日常的な教育的プログラムが必要である。地域の希望するすべての子どもに教育的プログラムを保障する公的な社会的養育システムが望まれる。毎日の放課後には、その大きな可能性がある。 地域における子どもの成長・発達支援は、保護者の安心を保障する。保育と教育的指導を融合したプログラムによる子どもの「安全の保障」と「発達支援」の総合化が求められている。 【地域資源の活用と多世代交流の場づくり】 多様なプログラムの実施には、さまざまな経験・技能・特技を持っている地域人材の協力が不可欠である。井関小学校放課後児童クラブの実践では、更生保護女性会、老人会、食生活改善推進委員、ボランティアによる茶道、竹細工、料理、俳句、水泳教室などを夏休みを中心に実施した。地域の人たちにとっては、社会参加、社会貢献や自己実現の舞台にもなり、やりがいや生きがいにつながる活動でもある。また、多世代交流の場ともなり得る。 【学校開放によって広がる可能性】 放課後の子どもの居場所として、学校ほど安全で使いやすい公共施設はない。何よりも子どもたちが慣れ親しんでいる場所である。通学路も決まっている。放課後に移動する心配もない。さまざまな用途の施設が整っている。井関小学校放課後児童クラブでも、体育館(用具を含む)、運動場、プール、図書室、調理室、多目的室等を(空いているときに)使用できたことで豊かなプログラムが実施できた。小学校の理解と協力があれば、子どもたちの放課後の可能性は広がるのである。 br> |
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参考文献 ・大島まな「体力・耐性の向上を目指すプログラムと児童の変容に関する実践的調査研究―放課後児童クラブにおける取組の成果と課題」日本生涯教育学会 論集35、2014年 ・大島まな「子育て支援を核とした人材育成と地域づくり―『養育の社会化』時代の『地域の教育力』を問う」日本生涯教育学会年報 第35号、2014年 |
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