登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
【定義】 子育て支援とは、子どもを産み育てるための資源(人、物、金、情報など)を提供することである。育児支援ともいう。子育て支援事業は、行政(国、都道府県、市町村)、企業、医療従事者(医師、看護師、保健師、助産師など)、大学、社会教育施設(公民館、図書館など)民間団体やNPOなどによって行われる子育て支援を目的とした継続的な行為の総体のことで、子育て(育児)支援サービス、子育て(育児)支援活動という用語が使われることもある。 【背景・動向】 1)子育て支援への関心の高まり 子育て支援への関心は1980年代後半から高まりをみせてきた。その背景には、1970年代、社会の活力の低下や社会保障費負担の問題などから、今後の社会を担う子どもの減少傾向についても徐々に関心が寄せられるようになったことがある。 問題が生じた子どもやその家族への支援だけではなく、子どもを育てるすべての家庭を視野に入れた支援の必要性にいち早く言及したのは、全国社会福祉協議会・児童家庭福祉懇談会「提言 あらたな「児童家庭福祉」の推進をめざして」(平成元(1989)年2月)であった。また同年、厚生省(現・厚生労働省)は「これからの家庭と子育てに関する懇談会」を設け、平成2(1990)年1月に報告書を提出した。そこでは、これからの家庭と子育てをめぐる諸施策は「子どもが健やかに生まれ、育つための環境づくり」を課題として展開していく必要があると提言されている。これらの提言の趣旨はその後の政策立案や法律改正に際しての理論的背景となり、「子どもを産み育てるための環境づくり」という言葉はスローガンやキーワードとして用いられるようになった。 2)子育て支援の動向 子育て支援の取り組みが本格的になったのは、合計特殊出生率が1.57をきった1990年以降のことである。少子化対策を求める世論の高まりを受け、従来は公的支援の対象として認知されてこなかった家庭も含めて子育てをするすべての家庭を社会が支えていく必要性が広く訴えられるようになった。 平成4(1992)年10月、厚生省(現・厚生労働省)は「たくましい子供・明るい家庭・活力とやさしさに満ちた地域社会をめざす21プラン研究会」(略称:子どもの未来21プラン研究会)を発足させ、翌平成5(1993)年7月に報告書を提出した。この報告書では、「従来、児童の養育は専ら家庭の責任であり、国及び地方公共団体は、家庭の養育機能が欠けた場合にはじめて事後的に責任を負う形で対応されてきた。しかし、子供が将来の社会を担う存在であることを考えると、子育てに関しては、保護者(家庭)を中心としつつも、家庭のみに任せることなく、国や地方自治体をはじめとする社会全体で責任を持って支援していくこと、言い換えれば、家庭と社会のパートナーシップのもとに子育てを行っていくという視点が重要である」と述べられている。 今日の子育て支援はこのような視点に立って進められてきており、国レベルでは平成6(1994)年12月に厚生省・文部省・労働省・建設省の4省合意により策定された「今後の子育て支援のための施策の基本方向について」(通称:エンゼルプラン)を端緒として、子どもを産み育てる環境の整備、とりわけ子育てを行う側の負担を軽減するための施策が計画的・総合的に進められている。 br> |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・日本総合愛育研究所子ども家庭サービス教育・研究ネットワーク編、高橋重宏・柏女霊峰・山縣文治・網野武博・庄司順一・益満孝一・山本真実著『子ども家庭施策の動向』(別冊発達(21))ミネルヴァ書房、平成8(1996)年 ・内閣府編『少子化社会白書』(平成16年度版)ぎょうせい、平成16(2004)年 ・改訂・保育士養成講座編纂委員会編『家族援助論』(改訂・保育士養成講座2005 第11巻)社会福祉法人全国社会福祉協議会、平成17(2005)年 |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |