生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2016(平成28)年12月26日
 
 

グローバル人材の育成のための青少年国際交流プログラム (ぐろーばるじんざいのいくせいのためのせいしょうねんこくさいこうりゅうぷろぐらむ)

キーワード : グローバル人材、国際交流、青少年教育施設、東アジア、文部科学省
松浦賢一(まつうらけんいち)
1.グローバル人材の育成
  
 
 
 
   グローバル化が加速する国際社会の中で、日本の成長を支え未来への飛躍を担うため、日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて、世界を舞台として様々な分野で活躍し、我が国の成長を牽引するグローバル人材の育成が急務となっている。
 文部科学省は、次代を担う青年リーダーなどの海外派遣及び日本招へいを行い、相互交流を図る「青少年国際交流推進事業」、東アジアを中心とした海外の青少年と日本の青少年との交流を通して、東アジアの中核を担う日本の次世代リーダーを養成する「青少年教育施設を活用した国際交流事業」を実施している。
 経済産業省が発表した『グローバル人材育成推進会議 中間まとめ』によると、我が国がこれからのグローバル化した世界の経済・社会の中にあって育成・活用していくべき「グローバル人材」の概念については、概ね、以下のような要素が含まれるものと考えられる。
 要素1:語学力・コミュニケーション能力
 要素2:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
 要素3:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ
 このほか、「グローバル人材」に限らずこれからの社会の中核を支える人材に共通して求められる資質としては、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等を挙げることができる。
 グローバル人材育成推進会議が整理した要素1から3をもとに、国立青少年教育振興機構は、グローバル人材育成測定尺度として、以下の29項目の事業評価用アンケート「グローバル人材の要素」(+外向き志向)を作成した。
 要素1「語学力」:英語で自己紹介ができる、外国の人に英語で話しかけることができる、「語学力(外向き志向)」:将来外国の学校に行きたい、将来外国の会社ではたらきたい、「コミュニケーション能力」:だれにでも話しかけることができる、人の話しをきちんと聞くことができる、人のために何かをしてあげるのが好きだ、人の心の痛みがわかる
 要素2「主体性・積極性」:自分からすすんで何でもやる、前むきに物事を考えられる、先を見通して自分で計画が立てられる、「チャレンジ精神」:小さな失敗をおそれない、うまくいくようにいろいろな工夫することができる、新しいことに挑戦したい、「協調性・柔軟性」:だれとでも仲よくできる、その場にふさわしい行動ができる、自分かってなわがままを言わない、「責任感・使命感」:いやがらずによく働く、自分に割り当てられた仕事はしっかりとやる、自分がするべき役割をはっきりわかっている
 要素3「異文化理解」:交流国の文化(日常生活等)を理解している、交流国の歴史を理解している、初めての環境に自分からなじもうと努力する、「日本人としてのアイデンティティ」:日本の文化(日常生活等)を説明することができる、日本の歴史を説明することができる、日本人としての良さを説明できる
 「外向き志向」:日本人として世界に貢献したい、外国の人との交流を通して自分の可能性を広げたい、交流した外国の人と将来も繋がりをもちたい
 
 
 
  参考文献
・文部科学省「教育振興基本計画」、2013
・経済産業省『グローバル人材育成推進会議 中間まとめ』、グローバル人材育成推進会議、2011年6月
・松浦賢一、「グローバル人材を育成する青少年国際交流プログラムの実践研究―青少年教育施設を活用した日本・中国・台湾・韓国の青年による体験交流―」、独立行政法人国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター紀要第4号、2016年、pp.81-90。
 
 
 
 
  



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