登録/更新年月日:2007(平成19)年3月3日 |
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【生涯学習の理念】 教育の憲法といわれる我が国の教育基本法が60年ぶりに改正(平成18(2006)年12月)された。その中に、生涯学習の理念が新設された。すなわち、 「第3条:国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」 となっている。これで我が国の教育は生涯学習の理念の基に実現することになる。ここで注目したいのは、国民の生涯にわたる学習を実現するには官民の多様な支援が必要であることである。 【始まっている多様な生涯学習施策】 今、具体的にどのような生涯学習関連施策が行われているか、北九州市の例を現場から見てみよう。同市は市民の「生活・くらし」として次の5領域にそれぞれの施策を掲げている。すなわち、「安全で快適なくらし」では「救急医療、消防・防災、防犯、危機管理と国民保護、モラル・マナーアップ、交通安全、ごみ・リサイクル、環境、生活衛生、消費生活」、「健康なくらしと福祉」では「健康づくり、医療、保健・福祉の総合情報、高齢者の福祉、介護保険、障害者の福祉、母子家庭・父子家庭の福祉」、「地域活動と生きがいづくり」では「地域活動、生涯学習、図書館、国際交流、男女共同参画、人権、市民センター、NPO・ボランティア、体育・スポーツ」、「くらしを支えるライフライン」では「住宅、道路、水道、河川・水辺、下水道、交通機関、駐車対策、駐輪対策、港湾、北九州空港、情報化」、届出と証明・税・保険」では「住民票・戸籍、税、保険・年金、電子申請・届出」である。まさに全てが「生活・くらし」の生活課題であり地域課題である。 したがって、生涯学習施策は、社会教育行政の施策を越えて、多様な部局で多様な生涯学習施策が行われているのである。角度を変えて述べると、今や住民の生活課題・地域課題の解決は社会教育行政だけでは限界を越えている現実が現れているのである。 ところが、住民のこれらの課題解決に向けた話し合い・学習活動の場は住民に最も身近の場所である公民館や市長村民センター等である。すなわち、住民の地域での活動は公民館等が拠点であることが多い。 【社会教育がするべき役割】 改正された「教育基本法」では、「社会教育」として 「第12条:個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。」 「第12条−2:国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。」 となっている。ここの注目は「個人の要望や社会の要請にこたえ」「社会教育施設等の設置」や「学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供」等が社会教育の役割である。すなわち、地域における住民の学習は場的にも、方法的にも社会教育の支援が必要である。ここに、住民の生活課題・地域課題解決の多様な生涯学習施策推進における社会教育の存在意義の一つがある。住民の要望、社会の要請は多様に拡大し、その生涯学習施策は関係部局において担うようになっているが、地域での実践活動となると社会教育施設等での社会教育の役割が重要である。 br> |
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参考文献 ・「教育基本法」平成18年法律第120号 ・北九州市「健康福祉北九州総合計画」平成18年 ・中央教育審議会「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について(中間報告)」平成19年1月30日 |
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