登録/更新年月日:2007(平成19)年3月3日 |
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【新しい社会教育施策の研究の必要性】 生涯学習関連施策は行政の多様な部局や民間機関団体で既に実施されるようになっている。社会教育の側から注目したいのは、これらの多様な生涯学習関連施策の学習活動・実践活動の場は、地域住民が集う公民館であることである。例えば、福岡市の防犯教室、食育の調理実習、健康診断、子育て教室、健康づくり運動等々は担当窓口部局は違えども活動の拠点は公民館になっている。 そして大事なポイントは、これらの活動が住民に定着し生活化されるには、継続した学びの場と、それを支援する社会教育から手立てが求められる。そのためには、社会教育はこれらの課題解決に当たって、何処と、どのように連携しパートナーシップを組むか。地域住民の参加がスムーズに行われるように支援していくかの施策モデルの研究・開発が求められている。決して「下請け」ではなく、より高いコーディネート、プロディユースの資質能力が求められているのである。 【なぜ、公民館の名前が消えて市民センターになったか】 社会教育関係者の嘆きに「町から公民館が消えた」がある。しかし、「公民館」が無くなったことは現実としてを受け止めなければならない。北九州市では、平成6(1994)年度から「地域づくり活動の拠点」として小学校区単位に「市民福祉センター」・「公民館」の2枚看板の名称を掲げ、平成17(2005)年1月1日からは「市民センター」になった。完全に「公民館」の名称が消えたのである。その理由として「公民館は生涯学習というイメージが強くあるため、利用者が限定される印象がある」としている。 公民館が「地域づくり活動の拠点」としての役割を十分果たしていなかったことになるのか。果たしてそうだろうか。そこで、喫緊の課題として、社会教育は地域住民の「実際生活の課題を解決し、生活文化の振興と社会福祉の増進に寄与するためにどのような連携施策を行うか、点検とモデル開発が求められる。 【新しい時代の社会教育−連携事業の開発−】 以上の事等を踏まえると、これからの社会教育は住民の学習支援だけでなく、新しい「公共」の形成を目指し、地域の「必要課題」の「解決学習」支援を関係機関・団体と連携しながら実施する施策モデルの研究開発が求められる。 【重要な「社会教育主事」の役割と育成】 効果的な連携施策を行うにはその中核となるのは、市町村の社会教育主事や公民館主事である。ところが今や、学習の成果を積み上げた地域住民は、自主学習グループを立上げたり、NPO法人としての活動を展開できるようになっている。また、活動している住民の中からボランティア・コーディネーターが誕生し、関係機関・団体とのコーディネートや、関係イベントのプロディユースができるようになってきている。 このように地域住民が「地域参加力」をつけてきた時代の社会教育主事の在り方やその資質・能力が改めて問われることになる。ここに新しい時代の社会教育主事の役割と育成の研究が求められる。 【「地域づくり」は「ひとづくり」・「ひとづくり」は「社会教育」】 地域づくりは誰がするか。地域の人である。では、地域の人を育てるのは何処か。社会教育である。社会教育行政が地域の人を育て、自主学習グループにして、NPOにし、新しい「公共」の視点で社会参画を促し「地域づくり」を推進するのである。住民の地域参画の「人材養成プログラム」の研究開発の充実も急がれる。 br> |
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参考文献 ・古市勝也、平地佐代子、ブストス・ナサリオ共著「生涯学習ボランティアコーディネート能力開発プログラムの開発と実際」九州共立大学・九州女子大学・九州女子短期大学生涯学習研究センター紀要第11号、2006年3月31日、pp77-99 ・「新しい時代の社会教育」平成18年2月、文部科学省生涯学習政策局社会教育課 |
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