登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【定義】 高度に制度化され、年齢によって構造化され、階層的に構成された、小学校から大学に至るまでの教育。実際には学校における教育を指す。 【意義】 学校教育が改めてフォーマルエデュケーションとして認識されたのは、1960年代の後半からであった。これは生涯教育論の登場と時期をほぼ同じくする。 従来は、学校のみが教育の場であるということが当然のこととして認められ、 1)学校のみが個人の本質的な学習要求を満たすことができる 2)個々人の学齢期に、一度に、すべての者に対して、この教育が達成されることが可能である 3)適切な学校教育を受けていない者は事実上教育を受けておらず、無知なままである と考えられていた。 しかしながら、1970年代になると、学校教育は歴史的に特権階層を対象としてきており、平等な教育機会を提供するのには不十分であること、限られた学齢期のみの教育では急激な社会の変化に対応できないこと、必ずしも学校教育の普及が十分でない諸国が数多く存在すること、学校での教育が必ずしも社会では役立たないことなど、学校教育の持つ問題点と限界性が指摘されたのである。 その結果、学校のみが教育の場であるという教育観から、教育を学習と同義ととらえ、学齢期に限らず生涯を通じて行われるものであるという教育観への転換がなされた。そして、学校教育は人間が生涯にわたって受ける教育の一部に過ぎないという考え方から、学校教育をフォーマルエデュケーションと名づけるとともに、ノンフォーマルエデュケーション、インフォーマルエデュケーションという、学校以外の他の教育領域と対比させてとらえるようになったのである。 このように、学校教育をあえてフォーマルエデュケーションという語を用いて示す場合には、人間の教育の場を学校に限定せずに、必ずしも学校に就学せずとも教育の提供ができること、就学年齢を過ぎても教育が提供される必要があること、学校と学校以外の場における教育を相互に関連させることを前提としていることに注目しなければならない。すなわち、単なる学校教育の別称ではなく、生涯学習体系の一つの構成要素として学校教育をとらえたという点に、フォーマルエデュケーションの意義があるといえよう。 【特徴】 (1)構造:階層的に序列化された各単位の機能的な相互関連 (2)内容:学問的、抽象的、エリートの価値の反映 (3)時間:将来に重点、フルタイムの出席の強調、柔軟性がなく連続した活動 (4)コントロール:官僚主義的、中央集権的 (5)場所:明瞭、固定、高価、都市に向く、物理的に適応から隔離された学習 (6)機能:社会科の強調、教育的官僚主義の永続化、選抜、エリートの存在の合理化 (7)報酬:延べ払いされた社会的経済的地位 (8)方法:教室での教師から生徒への標準的知識の伝達、固定的で非革新的な教授法 (9)参加者:年齢による決定、予想可能、都会志向、社会移動を意識、有資格の教員 (10)経費:標準化され階梯を上昇するにつれ増加、規模による節約は可能 br> |
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参考文献 ・P. H. Coombs, The World Crisis in Education ? the View from the Eighties, Oxford University Press, 1985 ・P. H. Coombs & Manzoor Ahmed, Attacking Rural Poverty −How Nonformal Education Can Help, Johns Hopkins University Press, 1974 |
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