登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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1)全国職業資格協議会(NCVQ)の設立 民間の団体を中心に設けられた職業資格は複雑多岐にわたり「ジャングル」とまでいわれるようなった。この状態の中では、雇用者も求職者も学習者も何が最適な資格であるのか、その資格取得のためにはどのような学習機会を利用すればよいのかがはっきりしなかった。政府は、このような状況に対応し、雇用創出ができるような教育・訓練政策の必要性から、1980年代後半以降、職業資格の整理・統合などの資格制度の整備に着手した。 まず、1985年の教育科学省・雇用省共同白書に基づいて雇用省内に職業資格制度検討グループが設けられ、1986年4月同グループが報告書『イングランド・ウェールズにおける職業資格の検討(The Review of Vocational Qualifications in England and Wales)』を発表し、秩序だったわかりやすい職業資格の仕組みの必要性を提案した。また、同年7月には雇用省・教育科学省・ウェールズ省共同白書『協働:教育と訓練(Working Together: Education and Training)』でも同様の提案がなされ、これらに基づいて1986年10月に全国職業資格協議会(National Council for Vocational Qualification, NCVQ)が設立された。 2)全国職業資格(NVQ)の開発 NCVQは既存の職業資格を整理統合するための全国職業資格(National Vocational Qualifications, NVQ)を開発した(1987年に試験導入、1988年に本格的導入)。NVQは、これまで各職業資格付与試験団体がそれぞれに定めていた資格のレベルを一本化するために各資格が共有できるような水準を提示したものである。この水準は作業遂行能力(competence at work)を指標とし、レベル1一連の作業活動遂行能力、レベル2共同作業等レベル1より複雑な活動の遂行能力、レベル3管理・監督を含む広範な活動遂行能力、レベル4複雑な技術的・専門的作業能力、レベル5応用分野、予測不可能時での責任をもった自律的遂行能力の5つに分類されている。 既存の職業資格は、資格付与試験団体によってNCVQに申請され、NCVQの審査で条件を満たしていればNVQとして認定される。特に、その職業資格が職種に見合った雇用に対応しているかが重要視されている。なお、NCVQでは職業資格のNVQとしての申請・認可までを担当しており、実際に志願者にNVQを授与しているのは従来どおり資格付与試験団体である。現在このNVQは11の業種、124の職種で導入されている。 NVQの特徴として強調されている点の第1には、雇用者・被雇用者の要望に基づき、作業遂行能力を重視した(competence-based)資格であること、第2には、受験資格や単位・資格認定において、年齢・性別・門地等が一切問われない開放的かつ平等な資格であることが挙げられる。 2003年3月31日の時点でNVQ授与の延べ人数は4,033,465人に達し、2002年4月1日から2003年3月31日の1年間のNVQ授与人数は386,256人であり、徐々にではあるが、NVQ取得者は増加している。 br> |
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参考文献 ・柳田雅明著『イギリスにおける「資格制度」の研究』多賀出版、平成16(2004)年 ・ Hazel Darkers『 NVQs & how to get them,3rd edition』Kogan Page Limited, 2002 ・ National vocational qualifications, http://www.qca.org.uk/610.html、平成17(2005)10月19日参照 |
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