生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年5月31日
 
 

アメリカの大学と単位認定制度 (あめりかのだいがくとたんいにんていせいど)

university and accrediting credit system in the U.S.A
キーワード : 大学、単位制度、GPA、生涯学習成果の評価、ポートフォリオ
清水一彦(しみずかずひこ)
1.大学の単位制度と単位認定
  
 
 
 
  1)単位制度の3つの種類
 19世紀後半にアメリカにおいて世界で初めて導入された単位制度(credit system)は、選択制を前提とし、学習の内容や成果を時間(アワー)を基礎に数量的に測定するものとして成立したものである。現在、少なくとも3種類の単位制度が存在し、1つはセメスター単位であり、2つはクォーター単位、そして3つは、コース単位である。
 1学年を2つの学期(セメスター)に分け、それぞれの学期において授業を完結させる制度がセメスター制であり、これはもともとドイツの影響を受けた学期制である。このセメスター制の下で運用されている単位制度が、セメスター単位である。1セメスター単位は、週1時間1学期15週のクラス授業を表す(2時間の実験・実習等は1時間のクラス授業に相当)。アメリカの大学の約3分の2は、このセメスター単位を採用しており、多くの場合、1科目は3セメスター単位となっており、週3時間の授業が展開される。したがって、1科目のクラス授業量は1学期で45時間となる。また、学期ごとに15セメスター単位の修得が、4年間の8学期で合計120セメスター単位(要卒単位数)が要求される。
 これに対して、クォーター単位はクォーター制(サマーセッションを含む4学期制)の下で運用され、1クォーター単位は、週1時間1学期10週のクラス授業を指している。現在、西部や中部地域を中心に2割近くの大学で実施されているが、上記と同様に、1科目3クォーター単位が基本となっており、1科目のクラス授業量は1学期で30時間である。学期ごとに15クォーター単位、サマーセッションを除く4年間の12学期で180クォーター単位が要卒単位数となっている。したがって、単位数からみれば、クォーター単位はセメスター単位の1.5倍に相当するものとなっている。
 なお、1960年代以降に東部の有名私立大学を中心に導入されたコース単位についていえば、およそ1週3〜4時間1学期で1コース単位となっており、卒業のためにはセメスター制では32〜40コース単位、クォーター制では42〜48コース単位とする場合が多い。
2)成績評価方法とGPA
 履修科目の成績評価については、およそ1960年代まではA〜Fまでの評語と0〜100点の評点を組み合わせた5段階方式が採用され、同時に教育の質を保証するGPA(Grade Point Average)が併用されてきた。しかし、60年代以降には、こうした伝統的な評価方式に加えて、合格/不合格やクレジット/非クレジットという2段階方式も登場するようになった。アメリカの大学では学業成績の評価について多種多様な方法を採用しているが、多くの大学では数多くの評点が用意され、通常、科目ごとの合格はD以上、不合格はFで表される。
 質保証システムとしてのGPA制度は、学生の学習の量ではなく学習の質を問うもので、大学が学生を責任をもって世に送り出すという社会的責任を果たすシステムでもある。しかも、この制度は社会的にも広く認知された共通の標準尺度であり、制度を支える仕組みが社会的に整備されているものとなっている。このGPAは、学生の成績評価方法の一種として運営され、卒業のための要件や大学院進学のための要件、さらには各種の報奨制度や同窓会組織加盟の条件などに使用されている。
 
 
 
  参考文献
清水一彦『日米の大学単位制度の比較史的研究』風間書房、1998年
 
 
 
 
  



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