生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

東広島市における生涯学習キャンパスの推進 (ひがしひろしましにおけるしょうがいがくしゅうきゃんぱすのすいしん)

promotion of Lifelong Learning Campus in Higashihiroshima City
キーワード : 生涯大学システムアクションプラン、生涯大学システム運営協議会、プログラム開発、生涯学習パスポート、生涯学習担当教員とボランティアコーディネーター
荒谷信子(あらたにのぶこ)
2.生涯大学システム運営協議会の協働体制の確立
 
 
 
 
  【生涯大学システム運営協議会の発足】
 本市においては、プラン策定以前から生涯学習によるまちづくりを全市的に実施するという方針から、市長部局と教育委員会が一体となり全庁的な生涯学習推進体制である「生涯学習推進本部」(本部長:市長)を設置し、事業を展開してきた。
 新たに策定したプランに基づき、生涯大学システムを運営するにあたっては、行政だけではなく、市民に対し学習支援サービスを提供する多様な機関・団体と連携・協力し、協働する関係をいかに構築するかが重要なポイントであった。このため、プラン策定後、直ちに関係する機関・団体と協議を重ね、「生涯大学システム運営協議会」を立ち上げることとなった。平成15(2003)年7月、市内3大学(現在は合併により4大学)、地元商工会議所、JICA中国国際センター、職業訓練センター、スポーツ交流センターなど18の公的な機関・団体により、共同宣言を公表し、生涯大学システムの運営を開始した。共同宣言には「われわれは、東広島市生涯大学システム運営協議会を組織し、協働して東広島市全体を学びのキャンパスとする生涯大学システムの構築に取り組む。」と記された。
【プログラム開発】
 前述したプランの具体目標に係る取り組みの一つに、大学と連携したプログラムの開発がある。その一例である「東広島学」講座は、近畿大学工学部において、学生と市民が共に東広島市のまちづくりについて学習する機会を提供しており、座学のみならず、自然環境保護活動、福祉活動などフィールドにおけるボランティア体験も取り入れている。大学の正規教養科目として学生はもちろん市民にも単位取得認定を可能としている点が当講座の特色である。また、広島大学との連携による「教職員キャリアアップ研修」は、夏季休業中を利用し、市内小中学校の中堅教職員を対象に生涯学習と学校教育の関係を深く学ぶもので、「生涯学習社会における学校教育の役割」や「学社連携・学社融合」などの講義をはじめ、地域課題をテーマとした「教育課題総合演習」といった実践的な内容も盛り込まれている。これらプログラムの修了者の中から、後述する生涯学習担当教員とボランティアコーディネーターが輩出されており、まさに成果の活用へとつながっている。
 このほか、市民の自主的な学びを支援するため、平成16(2004)年6月から「生涯学習のまちづくり出前講座」を実施している。本市の出前講座の特色は、市行政の講座メニューに加え、生涯大学システム運営協議会に加わる機関・団体からも多彩な講座メニューが提供されており、市民のニーズに応えている点にある。また、平成15(2003)年1月、本市と広島大学は、「産学官連携」、「生涯学習」及び「地域交流」を連携して推進するため、新たに「コラボスクエア」を開設した。この「コラボスクエア」では、学生を含めた大学人と、市民又は地域企業・団体等(市民グループ)とのサロン形式による気軽な語り合いの場を提供しており、市民グループの自主的な企画内容に応じ、これに沿った大学人への橋渡しを「コラボスクエア」がサポートしている。
 これらは具体目標に係る取り組みの一端であるが、いずれも市単独では実現しえなかったものであり、「生涯大学システム運営協議会」の協働体制の確立が必要不可欠であった。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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