登録/更新年月日:2009(平成21)年6月10日 |
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20年以上にわたって各種の調査とおして子どもたちの生活体験や自然体験などの状況を見てきたが、体験不足が改善される兆しは一向に見えてこないのである。女子大生でも「魚をさばいたことがない」、「果物の皮が綺麗にむけない」と答える者が相当数いるのであるが、これらに一々目くじらを立てる方がおかしのであろうか。 私たちは、豊かで便利な社会をつくるべく一生懸命に努力をしてきたが、そのことが何も考えなくても、自分で作らなくても、自らの足で移動しなくても、お金さえ払えば誰かが何とかしてくれるといった自己中心的かつ責任転嫁の社会につながったとすれば、何とも悲しい限りである。 これまでの調査からは、家庭が楽しいと答える子どもたちには生活力もあり親子の信頼関係も強く、人間関係も良好で積極性がみられるが、そうでない子は生活力や人間関係も弱く、外に出て行くことに対する消極性がうかがえるのである。 評論家の樋口恵子氏は、リタイアした後の妻がいなければ何もできない夫のことを「粗大ゴミ、濡れ落ち葉」と揶揄し、心療内科の黒川順夫氏は、夫の退職後の夫婦関係がうまくいかず、妻の負担は大きくなり、それらが原因で夫婦関係の悪化からDVに発展し、はては成熟離婚や主人在宅ストレス症候群の発症に結びつくと指摘している。人生80年の時代を迎えた今日、生活力の習得は子どもたちだけでなく大人も含めて「人生」という長軸から考えていかなければならない重要な課題といえるのである。 「子どもを見ればその国の文化がわかる、その学校がわかる、その家庭がわかる」と言われるぐらい、子どもたちは合わせ鏡のごとく家庭環境や大人の言動をまねしながら多くを吸収しているのであって、特に子どもに対しては親の影響が大きく、「親や大人が変わらなければ、子どもは変われない」といえよう。 br> |
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参考文献 |
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