登録/更新年月日:2009(平成21)年6月10日 |
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これまで行ってきた関東圏の小中学生対象調査から、「子どもたちの生活体験と家庭環境」について検証してみたい。 (1)生活体験の状況 平成3(1991)年と平成19(2007)年とを比較して、生活体験に関して「経験していない」の回答で比率が目立って高くなったものは、「ナイフや包丁で果物の皮をむくことを全然していない」(15.4%から25.3%)と、「食料品などの買い物に行くことを全然していない」(13.6%から22.2%)の二つであり、これらはともに10ポイント近く増えていることが分かる。その他については大きな変化はなく、生活体験が豊かになったといわれる状況ではないのである。 (2)家庭環境と生活体験との関連性 ここでは、平成19(2007)年に行った調査から、家庭環境と生活体験との関連性について見てみよう。 先ず、生活体験の全体のお様子を把握するため、表1の各項目についての回答を「全然していない」1点、「しないときが多い」2点、「どちらともいえない」3点、「するときが多い」4点、「いつもしている」5点のように配分し、そのうえでこれらを一まとめにして集計し、点数の高い3分の1の層を「高層群」(生活体験が豊かな層)、点数の低い3分の1の層を「低層群」(生活体験が豊かでない層)、その中間を「中層群」とした。 これと「家庭が楽しいか」とクロス集計したのが次の図1である。この結果、「家庭がとても楽しい」と答える子どもは、生活体験の度合いが低い「低層群」26.9%、「中層群」32.6%、「高層群」40.5%のようになり、「家庭がとても楽しい」と答える子どもの方が「生活体験」の比率が高くなっていることが分かる。一方、「家庭は全然楽しくない」と答えた子どもをみると、「低層群」42.0%、「中層群」24.1%、「高層群」33.9%のようになり、「家庭が全然楽しくない」と答える子どもは、生活体験の度合いがこちらでも低くなって表れていることが分かる。 その他の項目において、「家庭が楽しいか」と「親を信頼しているか」との関係を調べてみると、家庭が楽しいと答える子どもには親子の信頼関係の比率は高くなり、さらには信頼関係の強い子どもほど「生活体験」の度合いが高いことも明らかになる。 「親や大人が変わらなければ、子どもは変われない」と前述したように、家庭が楽しいかどうかが大きなキーワードとなり、親と子の信頼関係が重要なことが理解できるのである。子どもの存在を認めて家族から大事にされているという気持ちが持てるかどうか、家族の一員としての責任と役割があるかどうか、食を一緒にしながら楽しい会話の時間がつくれるかどうかなどがとても大事になる。先ずは、難しく考えないで子どもと一緒にできることから始めてみて欲しいものである。 br> 添付資料:こどもたちの生活体験の状況と家庭は楽しいか×生活体験の度合い |
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参考文献 ・「主人在宅ストレス症候群」黒川順夫著:(株)双葉社 1993年11月 ・「子どもたちの日常行動や親子関係、各種体験等に関する調査」川村学園女子大学子ども研究会:平成19年6・7月調査 |
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