生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

学校開放講座 (がっこうかいほうこうざ)

school extension lecture
キーワード : 学校開放講座、開かれた学校、学校開放、学社融合
宮地孝宜(みやちたかよし)
3.学校開放講座の課題
  
 
 
 
  【課題】
 平成11(1999)年に内閣府が実施した「生涯学習に関する世論調査」によれば、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、各種学校、高等学校で開催されている公開講座(開放講座)について、「受講希望」と回答したものは38.4%と4割近い回答を示している。また、受講に関する要望では、「自分の受講可能な時間帯で受けられるような講座を増やす」「大学などの公開講座を公民館などの身近な施設で受けられるようにする」「自宅にいながらにしてうけられるようにする」などの回答が多い。
 学校開放講座に対する期待とともに、多様な提供の在り方が求められている。すでに通信教育(レポートとスクーリング)による学校開放講座を開設している県立高校もあるが、今後、e-learningなどを活用した講座も期待される。
 また、今日的課題である、子育て支援のための学習、若者の就業支援のための学習などについて、例えば、幼稚園における子育てに関する講座、高等学校、専修学校等における就労支援のための講座を行うなど、学校種ごとにそれぞれの特色をいかした開放講座の展開が求められる。
【学社融合と学校開放講座】
 特に小・中・高等学校で行われている開放講座については、「学社融合」の考え方を導入し、実践していくことも重要であろう。
 地域社会において学習需要の高いパーソナル・コンピュータ等いわゆるIT関連学習の講座を例にしてみると、現在、e-japan戦略等により公立学校のIT化は進められており、コンピュータ教室や校内LANの整備の他、教員の研修も実施されている。まさに学校の教育環境(IT環境)は地域社会の学習資源となるものであり、それらを活用した学校開放講座は地域住民にとって有効な学習機会となる。
 さらに学社融合の視点から、教員が指導者となりつつ、児童・生徒が学習者のサポート役を行うとことも考えられる。地域住民の学習機会である一方で、学校の教育活動(児童・生徒の学習活動)として位置づけるということである。児童・生徒にとっては、日頃の学習成果を発揮する機会となるばかりか、日頃あまり接することのない、地域の大人と交流する機会ともなる。総合的な学習の時間などでの展開も考えられるが、土曜日や夏休みの子どもたちの活動として実施することも可能であろう。学校開放講座を通して、地域住民、教員、児童・生徒が交流を図ることは、学校と地域社会双方にとって意義深いものとなろう。
 その他、学校施設で実施するうえでの安全確保、学校開放講座の運営への地域住民の参画、運営責任の所在の明確化、費用負担の検討など、学校開放講座を実施していく上で留意しなければならないことは多々あるが、学校開放講座の意義をふまえ推進していくことが求められるだろう。
 
 
 
  参考文献
内閣府大臣官房政府広報室「生涯学習に関する世論調査 平成11年12月調査」内閣府: http://www8.cao.go.jp/survey/h11/gakushu/ 平成17(2005)年10月参照
 
 
 
 
  



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