生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2013(平成25)年12月3日
 
 

和歌山県地域共育コーディネーターの現状−学校と地域の協働− (わかやまけんちいききょういくこーでぃねーたーのげんじょう―がっこうとちいきのきょうどう―)

キーワード : 学校支援地域本部事業、コーディネーター、学校支援ボランティア
出口寿久(でぐちとしひさ)
2.調査結果の概要
 
 
 
 
   本調査には、32人の地域共育コーディネーターから回答があり、属性は40代の親世代の女性と60代以上の祖父母世代の男女が中心となっている。
 コーディネーターとして活動する以前の団体等での活動の経験については、PTAの役員や学校評議員、学校教職員などこれまでも学校に関わり、学校をよく知る人が多くなっているほか、自治会の役員等の地域のリーダー的存在の人、青少年育成団体やボランティアサークル経験者などボランティア活動に関わってきた人が多くなっている。
 活動頻度については、学期当たりの活動日数が30日を超える人が過半数を占めている。また、経験年数が長くなるほど、活動日数が多くなる傾向も見ることができる。
 「共育コーディネーターを引き受けた理由」は、「今までの活動・経験を生かして」が最も多く、「地域や学校のために何かしたかった」が続いている。学習した成果や経験を生かす場としてコーディネーターを引き受けている人や潜在的に活動要求を持っている人の多いことがわかる。
 「共育コーディネーターとしての役割や活動」は、「コーディネーター」の名のとおり調整の活動が主なものになっているが、十分な調整役の活動を行えていない人も少なからずいることもわかった。また、「ボランティア活動の立会・参加・取材」の回答も多く、多くの時間を要していることが予想され、ボランティアの不安感払拭のためのフォローなどコーディネーターの活動の多様性を示している。
 「共育コーディネーターとして活動することによる、学校の印象の変化」は、「良くなった」が多くなっているが、「変わらず」や「悪くなった」と感じている人もいる。また、「活動を進めることによる教職員の理解」は、「校長の理解が深まった」が最も多く、次いで「教頭の理解が深まった」「一部の教員の理解が深まった」となっている。一方で「全ての教員の理解が深まった」は少なく、「教職員の理解は深まらなかった」と感じている人も含め、教員の理解の広がりが課題として示されている。
 「活動する中で必要と思われる行政の支援」については、「コーディネーター間の情報交換」が最も多く、次いで「コーディネーターの研修」、「学校との話し合いの場づくり」と続いている。
 「コーディネーターの活動を行うことにより地域住民相互の連携協力が必要だと思うようになったか」については、「以前から思っていた」が最も多く、次いで「活動により思うようになった」となっているが、すべてのコーディネーターが連携協力の必要性を感じている。地域の繋がりによる子育ての必要性を実感する場面を多く経験されていることが、この結果になっているものと思われる。
 「共育コーディネーターとして活動していることやその役割について、広く教職員や児童・生徒に理解されているか」については、「はい」が3分の1程度、「いいえ」の回答もあり、「わからない」が最も多くなっている。教職員や児童生徒に対して、校長や教頭等が十分に説明や紹介を行っていない現状がわかる。
 「活動を行ってよかったと思うことは何か」については、「コーディネーター自身の学びや充実感」、「地域の繋がりの高まり」が最も多く、次いで「ボランティアの喜びや充実感」が続いている。
 
 
 
  参考文献
・「きのくに共育コミュニティの共育コーディネーターに関する調査」和歌山大学地域連携・生涯学習センター、平成24(2012)年
 
 
 
 
 



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