登録/更新年月日:2006(平成18)年10月30日 |
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学社融合は、平成8(1996)年の生涯学習審議会答申において初めて定義された。その中で、学社融合とは、「学校教育と社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ねながら、一体となって子供たちの教育に取り組んでいこうという考え方」と定義された。一方、この定義を受け山本恒夫は、学社融合には広義と狭義があるとし、広義とは「学校教育と社会の中の教育、訓練、学習活動の融合」であるとし、狭義とは、学校教育と融合するのは「社会教育に限定される」としている。 これらの定義に示される学社融合は、現在、博物館界でも注目されている形態のひとつである。博物館は、現在指定管理者制度導入による体勢変化の最中にあり、本来博物館の持っている使命であった教育・普及活動についても、定期的に成果を示さなければならない時期に入りつつある。 北海道紋別郡遠軽町の木のおもちゃワールド館ちゃちゃワールド(以下、「ちゃちゃワールド」という)は、世界40ヶ国で生産された木のおもちゃ1万点を収蔵・展示し、また子どもが木のおもちゃで遊ぶスペースを設置した施設である。博物館法で定める博物館ではなく、テーマパークとしての位置付けを行い第3セクターで運営する施設であるが、博物館活動を行う側面があるとして学芸員を採用している。 ちゃちゃワールドでは、学校との協働事業として、近隣の幼稚園・小学校の遠足や見学旅行の受け入れ、また美術科や工業科を設置する高等学校の研修の受け入れ、幼児教育を専攻する大学生・短大生の研修の受け入れなどを行ってきた。しかしながら、これらは全て学社連携の形態であって、学校の教育活動の補完を行うという形態を脱却していない。それは、学校側がちゃちゃワールドを学校教育の補完を行う施設であるという認識があること、またちゃちゃワールドも第3セクターという株式会社で運営している性格上、採算が取れない活動は行えないことなどが挙げられる。 現状において、この採算面については、専ら利益を追求しない社会教育施設である博物館にとって、採算面に関しては教育効果が期待できるものであるならば、最優先事項として考えられるものではなかった。しかしながら、利益追求団体である民間企業の指定管理者導入が始まりつつある博物館界にとっては、どの館でも近い将来直面しうる問題である。民間企業にとって、顕著に教育効果が期待できる学社融合事業であっても、採算面で折り合いがつかない事業であれば、縮小・廃止が行われる可能性がある。よって、今後の博物館では、費用対効果、つまり教育効果も期待できる事業であることに加え、なおかつ費用についても採算のとれる事業が必要となってくることは言うまでもないことである。 br> |
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参考文献 ・生涯学習審議会答申『地域における生涯学習機会の充実方策について』1996年 ・山本恒夫「学社融合と自発的組織化」日本生涯教育学会年報17号、1996年、P.1 |
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