登録/更新年月日:2011(平成23)年12月11日 |
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1)学校行事におけるボランティア活動 学校行事の中の学芸的行事と旅行・集団宿泊的行事でボランティア活動に取り組んでいる。前者については、文化祭が相当する。展示と販売に分けることができ、展示では、日頃の活動状況を第三者にわかりやすく伝える側面があり、振り返り学習の要素が含まれている。販売では、国内で展開する国際交流という意味合いもあり、後述するタイ隊との関連で、タイの実情を詳細に説明しながらの活動である。 後者の旅行・集団宿泊的行事はタイ隊(現地の学校で様々な交流をする)の活動が該当する。現地タイでの活動はもちろん、事前学習と事後学習とを有機的に関連づけて、学習効果の向上・定着を企図している。学校行事として位置づいているものの、現地の関係者とのつながり、国内での関係施設など、学校単独で完結することなく、様々なところとつながりがあり、その上で成り立っている活動である。このタイ隊については、特に意識の高い生徒が集まり、精力的にタイ語や出し物の準備等をしている。事前の取り組みを通して、タイを知ると同時に、自国である日本についても深く理解することになっている。つまり、国際理解を進めると同時に自国理解も深めるという効果がもたらされている。必然的に、タイ隊を通してもたらされる生徒の変化も大きく、教育効果の高さを垣間見ることができる。事前学習が充実しているからこそ、現地での活動も実りあるものになり、それを振り返ることで、自分自身やそれを取り巻く周辺社会・環境にまで視野を広げて理解することにつながっている。また、振り返りを通して新たな課題を発見することになり、より発展的な取り組みへつなげる素地ができている。そして、この同じ学校に在籍する身近な先輩や仲間の変化を目の当たりにして、後輩は、「自分もタイ隊に参加したい」という思いを強く抱くようになり、好ましい循環・連鎖が形成されている。 2)実践から得られる知見 タイ隊の活動に耳目が集まりやすいが、それを支える様々な工夫や取り組みがあるからこそ実践できている。4月当初から年間の活動予定を周知することで、生徒がそれぞれの興味・関心やそれまでの経験に合わせた活動を計画的に展開できるようになっている。そうした配慮によって、ボランティア活動に対して抵抗感を抱くことなく、日常的なものとして捉える素地ができている。その一方で、教科「美術」における作品製作を通して、間接的ではあるが、タイ隊の活動に関わることができるようになっている。この取り組みは、国際支援ボランティアに対して、現地に直接行かなくても、日本国内で、身近でできることもあるという意識を啓発することになっている。そうした意識があるからこそ、タイ隊の活動成果報告を聞く中で、「自分も現地で活動したい」という思いを抱くに至る、そのようなケースが多数出てくることにつながっている。また、タイ隊で実際に活動できる人数は限られているが、その経験や学習成果を在校生に伝えることで、学習成果の還元、経験・意識の共有化を図ることができている。それが次なる活動希望者を育て、タイ隊が学校のボランティア文化・伝統として根付いていくことになっている。 br> |
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参考文献 ・林幸克『高校教育におけるボランティア活動−データと事例に基づく実証的検証−』学文社、2011年 |
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