登録/更新年月日:2009(平成21)年12月10日 |
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1)インターネット上での多様なコミュニケーション・スペース、コミュニティにおいて、果たして創造的な共同作業(コラボレーション)がどこまで期待できるのか、また、生涯学習との関係をどう捉えればよいのかを考察する。 2)平成16(2004)年の「今後の生涯学習の振興方策について(審議経過の報告)」(中央教育審議会生涯学習分科会)が、生涯学習におけるネットコミュニティの意義について言及している。ITの活用を学習の利便性向上からのみ捉えるのではなく、「人と人との交流を促す媒体」であって、ネットを介して多様な「学習者との接点が生まれたり、思いがけない才能を持った隣人の発見にもつながる」、「全国や各地域における「ネット・コミュニティ」が形成され、人と人との交流を通じた学習の深化が促され、新たな価値観が創出される」としている。 3)背景には、平成10(1998)年にスタートした「富山インターネット市民塾」という成功モデルがある。富山という地域で展開していることで、ネット上での学習と人と人との交流が、地域という実際の生活での学習と交流に連動しているところが最大の特徴となっている。つまり、ネットでの学習を受けて、今度は実際に講師と受講者が会って学習をする、実際に会ってお互いを知ることで、またネット上の学習がより円滑、活発に展開というネットとリアルの好循環が生まれている。 4)ウェブ2.0以降、ブログやSNS(Social Networking Service)といった人と人をつなぐサービスがネットで急速に普及・定着をみた(平成18年現在、ブログは868万登録、SNSは716万登録。総務省調べ)特にSNSは、これまで「2ちゃんねる」に代表されるような、匿名・不特定多数によるコミュニケーションではなく、人と人との出会い・つながり、人間関係の強化を促すサービスで、生涯学習分科会報告の指摘を借りれば、他者との接点や発見、人との人との交流を促すもので、富山インターネット市民塾は、このSNSの生涯学習版とも言える。 5)「市民塾」は生涯学習ネットコミュニティと同時に地域ネットコミュニティであり、地域のソーシャルキャピタルの蓄積にも関係している。ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、「「社会的な繋がり(ネットワーク)とそこから生まれる規範・信頼」(平成14(2002)年度内閣府委託調査報告書)とされ、地域や社会問題の解決を左右する上で、人と人とのつながりや信頼関係の厚みが基盤(つまり資本)として重要な指標となるという考え方である。ネット上の交流が地域での実際の人々の交流を促し、結果的に人と人との関係の緊密化、地域におけるソーシャルキャピタルの蓄積に貢献できるのではないか。この地域コミュニティの活性化という視点を踏まえ、盛んな取組が行われているのが「地域SNS」(地域限定のSNS)である。 6)平成16(2004)年、熊本県八代市の「ごろっとやっちろ」を皮切りに、地域活性化・まちづくりの強力なツールとして総務省の後押しもあり、数年で200以上の地域SNSが立ち上がっている。「地域SNSは、人をつなぐことだけが目的ではなく、実社会との連携を通してより多くの人たちをネットワークするとともに関係性の強化を促進する」(庄司昌彦他著「地域SNS最前線」,アスキー,2007)ものとして期待されている。 br> |
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参考文献 ・伊藤康志「ネットワーク社会と社会教育計画」山本恒夫・浅井経子他 編著『社会教育計画』,文憲堂,2007年。 ・富山インターネット市民塾 http://toyama.shiminjuku.com/ ・ごろっとやっちろ http://www.gorotto.com/ ・平成14年度内閣府委託調査「ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関 係と市民活動の好循環を求めて」) ・地域SNS研究会 http://www.glocom.ac.jp/project/chiiki-sns/ |
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