生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年12月10日
 
 

愛知県における生涯学習インストラクターの活動と組織 (あいちけんにおけるしょうがいがくしゅういんすとらくたーのかつどうとそしき)

activties and organization of Lifelong Learning Instructor in Aichi
キーワード : 生涯学習インストラクター、生涯学習支援ボランテイア、NPOと行政の協働
石井英昭(いしいひであき)
3.問題点と課題
  
 
 
 
   【インストラクターの立場】
 通信教育は原則として、一人ひとりが受講する(スクーリングを除いて)ものであり、誰でも、何時でも、どこでも受講できるという利点がある。半面、受講中も修了後も孤立する環境になりやすく、インストラクター同士のつながりに発展し難いという状況がある。自治体の援助があって受講者のスクーリングを地元で実施したケース(愛知県小牧市、岐阜県可児市の場合)では、講座を修了したインストラクターが集まって会を結成し活動を進めている例もあるが、これらは少数例である。
 したがって、学習成果を活かして何かやろうという場合、学縁、地縁、従来の生活・活動の縁という具合につながりができて活動を始めたという例が多い。
【コーディネーターとしての役割】
 前項で述べたように、インストラクターの仲間たちの活動は広範囲にわたっており、市民講師として活躍している人も多いが、それと同時に運動を組織するコーディネーターとしての役割を果たす場合がほとんどである。これは特定の知識や技能を持っているだけでは不十分であり、実際の場に当って活動しかつ学習するということが必要で、そのためにも本会が会員の研修の場をより多く提供する必要がある。
【青年と子どもへの働きかけ】
 岡崎100セミは当初、主として青年と子どもを対象とする内容と企画で進めたが、実際に幕を開いてみると大人の参加者が約6割を占め、講師には中学生から79歳の高齢者も参加するという文字通りの生涯学習の場となった。高浜の例でも青年の動きを町内会や市当局が支援しており、小牧の会の目標にも「学校教育への支援」が示されている。
 これは現代の青年子ども問題を社会全体が注目し、関心を持っていることであることのあらわれであって、生涯学習を中高年のものという狭い認識は通用しないし、青年・子どもへの働きかけを軸に運動が大きく発展することを示している。
【インストラクター組織の強化・拡大をめざす】
 本会は前記のように多種多彩な専門分野を持つ人材の集まりであり、その持つ情報力は広範囲である。例えば会員の中で、市・町の生涯学習推進会議委員、市町村職員や公民館職員、各種アドバイザー、さらに愛知県教育委員長を委嘱されている本会顧問(大学教授)もある。現在バラバラでいるこれらの人々の交流を図り、政策集団化を図ることができれば、大きな力となる可能性もある。そのための情報化(HPや会報の活用)を進めることが課題となる。
 また目標を実行するための行動力と組織を強化すること。そして会員の研修を制度化すること。現在の生涯学習をめぐる情勢変化に対応できるよう、活動しながら学びを深めるというスタンスで学習に勤めることが課題となる。
 さらに、生涯学習に関心を持つ市民、ASI未加入の生涯学習インストラクターなどに働きかけて大きなかたまりを作ることが要請されている。「みかわASIの会」の諸活動や各地史跡訪問の経験(前掲)が示すように、行事・イベントの度ごとに他団体やグループと共同して、関係者や一般市民によびかけることの成功例を活かして進めることも大切である。
 とくに今後に向けて重要なことは、愛知県や各市町村当局との協働を広げ発展させることであり、そのためには日進市の「まつり」(前掲)のように、地域のNPOや各ボランティア団体などとの連携を強めて協力を組織していくことがポイントとなるであろう。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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