登録/更新年月日:2006(平成18)年10月30日 |
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国立大学(法人)が行う事業は、最終的には国が責任を負うべき事業であることが前提になる。その点で私立大学とは別の使命をもつことがあり、生涯学習に対する国立大学の使命はその一つの例である。学習社会の理念に向けて教育制度を整えようとする時に、国立大学は、固有の事情をもつ私立大学とはちがって、その推進についてより重い責任を担わなければならない。 初めて生涯学習にふれた昭和46(1971)年の中央教育審議会答申「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」から10年を経て昭和56(1981)年に公表された同審議会答申「生涯教育について」は聴講生、研究生制度、別科・専攻科、夜間部・通信制・昼夜開講制、大学公開講座などを活用し、成人への高等教育のいっそうの開放を要請した。高等教育機関全体としては、取り組みが少なく、また、これらは制度としても未整備であり、社会的にも十分利用されるにいたっていなかったからである。 昭和59(1984)年から62(1987)年にわたる臨時教育審議会の答申は「生涯学習体系への移行」を強く打ち出し、規制緩和の方向で諸制度の見直しが進むなかで大学内部においても大学の生涯学習化は大きな改革目標になっていった。特に平成3(1991)年の大学設置基準等の改正は大学のあり方に影響を与え、生涯学習支援においても、必要な制度を整え履修形態の柔軟化、開放化が図られることになった。具体的には当該大学入学以前に大学・短大等で修得した単位を当該大学の単位として認定すること、科目等履修生制度を創設し単位を認定することにより従来の聴講生制度を活性化したこと、昼夜開講制を明文化したこと、社会人の再教育のための大学編入学定員を入学定員とともに明示することとしたことである。 学習成果の評価の方法にも工夫が講じられた。平成4(1992)年に創設された国の学位授与機関は一定の単位の累積により学位授与の道を開くいわゆる単位累積加算制度の導入を進めるものであり、大学卒業者以外の者にも学位取得の道を開くものとして今後生涯学習の観点からいっそうの発展が期待される。 これらに加えて、従来から進めてきた大学外の人々に対する学習機会の提供は教育、研究に並ぶ第3の機能として大学にかされた課題となってきている。公開講座や公開授業(オープンクラス)の開設、図書館、運動施設等の一般開放、地域の教育活動への協力等は、法人化後の大学が地域社会への積極的な貢献を求められるなかで、研究における産学連携と双璧をなす重要な位置をしめるにいたっている。 以上のような大学の取り組みは、平成14(2002)年の学校教育法改正において制度化された大学認証制度、平成16(2004)年に発足した国立大学法人制度における事後評価制度によって教育研究の評価とともに検証評価される仕組みになっている。 br> |
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参考文献 |
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