登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
【生涯学習支援ネットワーク構築の段階】 生涯学習関係機関・施設・団体等(以下、生涯学習関係機関等)間にネットワークを構築する必要性は認められつつも、構成要素や交換される学習資源の種類が多いため、どのように生涯学習支援ネットワークを構築すればよいのかということが課題になるであろう。例えば、山本恒夫は、生涯学習支援の中でも学習機会等提供のネットワークを取り上げ、そのようなネットワークは構成要素や交換される学習資源の種類に応じて段階的に構築するのが効率的であるとして、以下のような4段階を示している。 まず、第一段階は、構成要素、学習資源がともに同種類のネットワークである。例えば、図書館間でネットワークを構築して図書の交換を行う場合が挙げられる。 第二段階は、構成要素は異種類であり、学習資源が同種類のネットワークである。第二段階のネットワークとしては、公民館、生涯学習推進センター間でネットワークを構築し、何らかの行事を行う際にはそれぞれの職員が手伝いに行くという場合が挙げられる。 第三段階は、構成要素は同種類、学習資源が異種類のネットワークである。例えば、生涯学習推進センター間のネットワークにおいて、あるセンターからは施設・設備が提供され、あるセンターからは講師が提供されるような場合が挙げられる。 そして第四段階は、構成要素、学習資源がともに異種類のネットワークである。公民館や図書館、民間の生涯学習関係機関間でネットワークを構築し、あるところは教材・教具を、あるところは施設・設備を提供するような場合が挙げられる。 教育委員会や首長部局の各部課局・施設や、民間の生涯学習関係機関等が参加して行われている出前講座も、この第四段階のネットワークを構築して行われている学習機会等提供事業と考えることができるであろう。このような出前講座は、平成6(1994)年に埼玉県八潮市で開始されて以来、多くの自治体で取り組まれている。 【生涯学習支援ネットワーク構築の留意点】 生涯学習支援ネットワークを構築して運用する際には、生涯学習関係機関等間で交換される学習資源のバランスを保てるように工夫する必要がある。例えば、ある生涯学習関係機関(機関A)は他の生涯学習関係機関に学習資源を提供しているにも関わらず、他の生涯学習関係機関からは機関Aに対して学習資源が提供されていないと仮定する。その場合、機関Aはネットワークに参加している意義を見いだせず、ネットワークから脱退してしまうことも考えられる。生涯学習関係機関間で交換される学習資源の流れに着目すると、機関Aへ流れる学習資源の総入量と総出量が等しくない状態にあると考えられる。このように、資源交換にアンバランスな状態が生じるとネットワークはうまく機能しなくなる。これは、グラフ理論でいう流れ(フロー)の保存則の問題にあたる。しかし、ネットワークの構成要素や交換される学習資源が異種類の場合、各構成要素への学習資源の総入量と総出量のバランスをどのように捉え、それらを計算すればよいのかが問題となるであろう。 例えば、生涯学習関係機関等間で交換される学習資源の流れを捉える方法としては、ペトリネット理論を用いた検討も有効であると考えられる。 br> |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・山本恒夫『21世紀生涯学習への招待』協同出版、平成13(2001)年 ・山本恒夫他『生涯学習の設計』実務教育出版、平成7(1995)年 ・大西麗衣子「出前講座の参加部課局・施設の準備行動に影響を及ぼす要因」日本生涯教育学会論集26、平成17(2005)年 |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |