生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

社会教育法−沿革− (しゃかいきょういくほう−えんかく−)

Social Education Law −history−
キーワード : 教育委員会、社会教育主事、社会教育関係団体、公民館運営審議会、社会教育主事講習規程
井内慶次郎(いないけいじろう)
1.社会教育法の制定
  
 
 
 
  (1) 戦後7年間に亘る占領政策中に制定された教育基本法、学校教育法、教育委員会法、教育公務員特例法等の先行諸法律についで、これら諸法律を承けながら、いろいろな曲折を経て、社会教育法(昭和24年法律集207号)が、公布施行されたのは、昭和24(1949)年の「時の記念日」6月10日であった。
 その前年教育委員会法が公布施行されたが、その第49条に教育委員会の仕事が18項目列記された。社会教育については、その第14号に「社会教育に関すること」とのみあり、又同法施行令第16条第1項には、課長、主事、技師と並んで社会教育主事を置くとされた。社会教育主事は政令による職制で、その職務も同条第4項に「社会教育主事は、上司の命を受け、社会教育に関する視察指導その他の事務を掌る」と規定された。
 このような事情で、ともかく立法作業は加速し、昭和24 (1949) 年4月に法律案が国会に提出され、参議院で一部修正、5月22日に衆議院で最終可決された。参議院の修正は3点。
 第1は、第35条の公民館の補助の規定を、「補助その他必要な援助をすることができる」とあったのを、「補助その他必要な援助を行う」と修正。
 第2は、第11条の規定に、新たな第2項を加え、「社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う」とした。
 第3は、社会教育委員の構成に関し、第15条の規定を修正して、教育長の推薦から、候補者名簿の提出と改めた。いずれも重い修正であった。
(2) 社会教育法第9条に、「図書館及び博物館は、社会教育のための機関と」し、「別に法律をもって定める」とされ、これに基づき、図書館法が昭和25年法律第118号を以って、博物館法が、昭和26年法律第285号を以って制定された。
 又社会教育法で定める社会教育に関するサービス行政を担当する専門的な職制の整備が急がれ、昭和26(1951)年3月12日法律第17号で、社会教育法の一部改正が行われ、新たに第2章に、「社会教育主事及び社会教育主事補」の一章が追加され、その設置、職務、資格、社会教育主事の講習、研修等の規定が整備され、同年6月21日には、「社会教育主事講習規程」(文部省令第12号)が制定された。なお、この一部改正と同時に教育公務員特例法の一部も改正されて、社会教育主事も指導主事と並んで教育公務員とされた。
 昭和24 (1949) 年に制定された社会教育法はこのように、図書館法、博物館法の制定、社会教育法の一部改正によって、一応その体系を整え、戦後の社会教育行政を支えることとなった。
 
 
 
  参考文献
井内慶次郎、山本恒夫、浅井経子『改訂 社会教育法解説』全日本社会教育連合会、平成13年。
 
 
 
 
  



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