登録/更新年月日:2006(平成18)年10月27日 |
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団体を運営する上で、最も重要な役割を果たすのはリーダーである。その良し悪しが組織の盛衰を決定すると言ってもよい。それだけに、指導者に関しては、古今東西様々な研究が行なわれている。 研究の主な傾向は、およそ二つに分類することが出来る。一つは、リーダーのパーソナリテイ特性を分析し類型化する方法である。もう一つは、リーダーは単純に類型化できるもではなく、団体の発達段階によって指導者の置かれる状況に変化が求められるとする分析態度である。 前者については、ギップ(Gibb,C.A)の個人的特性の研究が著名であるが、周知されているのは、リピット(Lippite,R)ホワイト(W.F. Whyte)の実験であろう。 これは、子ども達数人の作業グループをつくり、彼らに巣箱を作る作業をやらせた。その際、グループの成員は変えず、リーダーだけを「専制型」「民主型」「自由放任型」のタイプに変えて作業をやらせた。その結果、作業能率、メンバー間の人間関係、製作品への愛着度など、どれを採っても「民主型」のリーダーの下での作業グループが成果を挙げたという実験結果であった。 わが国においても、幾つか似たような実験が行なわれている。著名なのは三隅二不二の「PM型リーダー」の研究であろう。それぞれPerformanceとMaintenanceの頭文字を採ったものである。つまり、集団の目的を達成することを重視するリーダーはP型である。それに対し、成員の人間関係など集団の維持機能を大切にするリーダーはM型である。最も理想的なリーダーはPM型であり、反対に、両機能にも熱意のない最低のリーダーをpm型であるとしている。 後者の研究は、「民主型」「PM型」を優れたリーダーと看做すのではなく、団体の置かれている状況によって指導者のタイプも変わるのではないかという分析態度である。つまり、団体も人間同様発達するものであり、その成長段階に即したリーダーシップの発揮の仕方がある筈だと考えるのである。 団体の創設期においては、人間の乳幼児期に相当し、何もかもリーダーに依存しがちである。そのような場合には「専制型」のリーダーの方が望ましいと考えるのである。団体が青年期に達した場合には「民主型」、そして成人期になると、メンバーも団体の運営方法などその全般についてリーダーと同程度に理解を深めるようになっているので「自由放任型」が集団の生産性を高めることが出来ると看做すのである。 こうして見ると、指導者の役割、在り方はそう簡単なことではない。だからこそ昔から指導者の研究が行なわれきたのであろう。ただ、インフォーマルな団体、グループ・サークルの場合には、この問題を余り難しく考えない方がよいのかも知れない。リーダーを意識することなく明るく、公平に、温情と熱意をもってリーダーシップを発揮することこそが大切あると言えよう。 br> |
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参考文献 ・河野重男他『新社会教育事典』第一法規、昭和58年 ・三隅二不二『グループ・ダイナミックス』共立出版、昭和55年 ・多勢康弘『指導者論』新潮社、平成8年 ・『生涯学習概論ハンドブック』国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、平成17年 |
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